過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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30: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/08/14(日) 16:08:11.70 ID:1MPDMi340
(炎は吸い込まれて効かねえ。かといって近づこうにもあの触手が待ち構えてるし、何より)

男は腰の辺りを触りました。

「ぐっ……!!」

ぢくぢくと、真っ赤に熱された鉄を押し付けられているような痛みが走り続けています。

おそらく呪いの一種でしょう。男からは見えませんが、独特の模様が浮かび上がっています。

(常時発動型の呪いか……全身から「触っちゃ駄目ですよ」って教えてくれてるようなもんだもんな)

さながら、あの怪物は「死の化身」と言ったところでしょうか。

「……武器は、ナイフは……こんな小せぇのが効くわけねえか。使えそうなのは」

風属性の魔力が込められたブーメラン、安物の剣、メリケンサック。

どれも相性が良い武器とは言えませんね。男はすぐ壊してしまうので、持っていても仕方ないのかもしれませんが。

「後ろをとれたら有利だったんだが……まぁ、仕方ねえか」

あのままでは触手に捕まっていましたからね。過ぎた事を言っても仕方ありません。

なにより、後ろから奇襲をかける戦法は、男の好むものではありません。

真正面からねじ伏せるのが、男の戦闘スタイルです。

男は秘薬をごくりと飲み干し、魔力を補給します。

「……やるしかねえな」

その前に、確かめねえと――男は巨大な瓦礫を掴み、60メートルほど離れた「霧の怪物」に向かって投げました。

ゴウッと風を切る音を纏い、瓦礫が飛んでいきます。

しかし、その瓦礫は何本も束ねられた触手により、叩き潰されました。

(やっぱり、物理的な攻撃は吸い込めねえようだ……行くか)

男はまず、刃が仕込まれたブーメランに魔力を込めました。

ボンと音が鳴り、直径6メートルほどのサイズに変わります。

男はそれを、ありったけの力を込めて振りぬきました。

投げられたブーメランは、飛べば飛ぶほど回転数を増していきます。そのまま風属性の魔力を纏い、斬撃の竜巻を発生させました。

(フットワークは皆無……あの触手が速いだけだ)

男はブーメランを追うように走り出します。

竜巻は向かってくる触手を切り裂きながら、さらに巨大になっていきます。

(まぁ、さすがにこれで倒せはしねえだろ……)

男は両手から巨大な二匹の龍を象った炎魔法を放ち、援護射撃をします。

(さぁ、どうする? 全部吸い込んで斬られるか、触手を犠牲にして防ぐか)

「霧の怪物」は大きく口を広げました。


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