過去ログ - 提督「グラーフ・ツェッペリン、割り箸を割る」
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14:名無しNIPPER[saga]
2016/08/13(土) 01:46:46.98 ID:IPF1yQGEO
「しかし、操作を受けているのは今ある現在だ。金剛のようにお気楽に問題を放棄できない」「私はお気楽デスカ?」「さあな」。金剛はカップを回し、グラーフ・ツェッペリンは割り箸の先を割らない程度に開いては離した。

「英国経験論では『今日まで太陽が東から昇ったという事実は明日も太陽が東から昇ることの根拠とはなりえない』と主張しマース」

「なんだ出し抜けに」

「帰納法や因果律はあたかも未来を保証してくれるように見えマスが、経験を根拠にする限り常に新しい経験の脅威に晒されているわけデス」

金剛は続けた。「私達にとって絶対的な未来でさえある種の幻想に支えられているのだとしたら、日夜戦場を渡る私達の生はどうでしょうカ」「なにが言いたい」「退役後を心配して悩むなんて贅沢だと思いマシテ」。英国的な冷笑だった。

「私達にとって確実なのが今現在しかないのなら、未来がどうこう悩む必要なんてないデス。そもそも偽物のラヴというのは、感情的な嫌悪を隠し表面だけ取り繕うものを言うはずネ。
 今提督を好きだと思う気持ち、それがたとい外部に由来するにしても、それが実際の感情なら偽物なんかではないはずデース」

金剛は飄々とこともなげに言ったが、その内には明日には生きていないかも知れないという逼迫した緊張感とそれに基づき生の現在を愛おしく思う気持ちが見え隠れしていた。

恐慌的なわけではない。メメント・モリ。先駆的に死を想うことによって現存在を充足するような、余裕か諦観か、この草庵に不思議と合致した風雅隠棲の趣さえあった。



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