過去ログ - 提督「グラーフ・ツェッペリン、割り箸を割る」
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15:名無しNIPPER[saga]
2016/08/13(土) 01:47:17.33 ID:IPF1yQGEO
これが差異だった。数多の戦場を駆け巡り予期せぬ死により現実の海へと沈んだ者と雌伏の内に目的のため自ら死を選び理想の海に沈む者との差異。どちらが上か下かという価値の階梯とは無関係な差異。

金剛には愛の内で生ききる強い情熱があった。たとい己の感情に距離を置いたとしても再びその内へと戻っていける生命力があった。グラーフ・ツェッペリンはそこまで感情を前傾させることは自分にはできないと直感した。

金剛は紅茶の波頭が夕焼けを反射しているのに気付くと、「そろそろ提督の執務が終わる時間デース!」と立ち上がり夕日の向こうに走り去っていった。「嵐のようだな」。

「嵐ですか? どうでしょう。今夜もまた降るかもしれませんね」。鳳翔が薄暗くなった露地からやってきた。「珍しいですね。グラーフ・ツェッペリンさんがここに来てくれるなんて」「先ほどまで金剛もいたぞ」「そのようですね。ティーセットも置きっぱなしですし」

「この場所には似合わない置きみやげだ。急ぎすぎだな。アドミラルのことになると」「私達艦娘は程度の差こそあれ、みなさんそんな感じではないですか?」

「鳳翔は行かなくてもいいのか」「私ですか?」「鳳翔だってアドミラルのことを好いているのだろ」「ふふ、どうでしょうか」。事実を誤魔化すのではなく、互いのうちで自明に了解されているものに関して改まってとぼける笑みだった。



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