過去ログ - 提督「グラーフ・ツェッペリン、割り箸を割る」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/08/13(土) 01:49:21.92 ID:IPF1yQGEO
「重要か」「ええ、重要です。例えば「人生は無価値だ」と言って自殺する人がいます。どうですか?」「どうですかとはどういう意図だ」「ふふ、すみません。でも、そう言って自殺する人は間違えています。本当に人生を無価値と思うのなら、自殺なんて選択はないはずです」
グラーフ・ツェッペリンが沈黙するので鳳翔は続けた。「そうではないですか? その人は自殺という積極的な行為で何かを実現しようとしたわけですから。その人が「無価値」という時、より大なる価値を実現するのにそれが邪魔になったということに過ぎません。
それは「無価値」というより「反価値」と言うべきでしょう。執心の否定が執心であったように、価値の否定も価値になってしまっているのです」
「では本当の「無価値」とはなんだ」「そうですね。価値/反価値の彼岸にあるのが無価値なのではないでしょうか。価値概念からそもそも無関係なものそれが人生ではないでしょうか。
例えば定規はそれによって物の長さは測れますが、定規そのものの長さを測れません。メートル原器はそのものによって自分を一メートルだと測って証拠にはできません。定規は測るものであって測られるものではないのです。
同様に人生もまたそのうちにある事柄の価値は測れますが、人生そのものの価値を測ることはできないのではないでしょうか。
人生は内容によって「無価値」になるのではなく、その構造によって原理的に「無価値」なのです。きっと」
「そして、生が究極的に無価値なら、生きる意味もなければ死ぬ意味もないはずです。でしたら、生に現前する様々な現象とただ戯れるようにしてあればよいのでないでしょうか? たといそれがいかに熱烈な愛であったとしても」。そう締めくくると鳳翔は湯飲みからほのかに上がる湯気を眺めるだけだった。
はっきり言えばグラーフ・ツェッペリンは驚いていた。まさか鳳翔が論理を用いて真っ向から己の主張をぶつけてくるとは思ってなかったのだ。
正直、鳳翔ならば大和撫子特有の柔和な笑みでもって、問題を全て「理屈でない人間感情の微妙な機微」に包摂してしまい、問題自体をなかったことにすると考えていた。
それがいまや鳳翔の側から、金剛やグラーフ・ツェッペリンの方こそ感情に支配されていると言われている。
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