過去ログ - 提督「グラーフ・ツェッペリン、割り箸を割る」
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19:名無しNIPPER[saga]
2016/08/13(土) 01:50:27.15 ID:IPF1yQGEO
グラーフ・ツェッペリンが日本に来てから、精神的苦悩をいわゆる「感情論」で片づける傾向が比較的強い風土に戸惑いを覚えていたのは事実であった。ほとんど紋切り型の感情論説を「この悩みにはこう」と展開する一対一対応の関数的お悩み相談。

しかも感情論は社会常識的にほとんどトートロジーとも言えるものばかり。トートロジーは常に正しきゆえに何も言っていないに等しい。天気予報が「明日は晴れるか晴れないかのいずれかです」と言うなら、それは何の役に立つというのか。

ここでは誰かに打ち明けられる悩みとは前もって己で答えを決めているものだけだなと漠然と思っていた。だから、鳳翔のその応答はグラーフ・ツェッペリンにとってひどく新鮮で喜ばしく思えた。

「いつもこうした言い方をするわけではありませんよ? グラーフ・ツェッペリンさんにはこの表現の方が良いと思ったので」。グラーフ・ツェッペリンは湯飲みも脇に置いた。
 鳳翔が話している内にちびちび飲んでいたらいつの間にか空になっていたのだ。鳳翔がおかわりを提案してきたが遠慮させてもらった。

「鳳翔、あなたはいわゆる解脱の境地にいるのだな。『悟り』というのか」
「そんな風に言われるとちょっと高尚すぎますね」
「金剛はあえて生の内側へ戻る『小人』の道をゆく。対照的に鳳翔は外側へ出て生全体を俯瞰する高い位置にいる。それをここでは『悟り』というのではないのか」

「さあ、どうでしょうか。私はただそれっぽいことを言っただけかもしれませんしね。もしかしたら金剛さんの方が悟りという言葉にふさわしいかもしれませんよ?」「ふむ、またお得意の遊戯的白痴か」


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