過去ログ - 提督「グラーフ・ツェッペリン、割り箸を割る」
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22:名無しNIPPER[saga]
2016/08/13(土) 01:53:18.24 ID:IPF1yQGEO
二人のやり方を拒否するグラーフ・ツェッペリンにとっては「アドミラルのことを好いている」と「感情が偽物の可能性」と両方を認める道しか開かれていないように思えた。

さらに「偽物の可能性」から「可能性」という言葉もなくそうと決めた。つまりそれは「私はアドミラルのことを好いているが、しかしその感情は偽物である」ということを承認することである。安直な賭けで問題を放棄しないようにと自戒したのだ。

パスカルは神の存在を証明する際に賭けの理論を持ち出した。
「神がいる方に賭けたとしよう。もし実際に神がいれば永遠の浄福は君の物だ。かりにいなかったとしても君はガッカリするかもしれないが代償はそれだけだ。
 もしいない方に賭けたとしよう。その場合、もし実際に神がいなかった場合、(死後も生きているとして)君のものになりうるのは「ほら自分は正しかったんだ」という小さな自己満足だけだ。しかし、もし神が存在した場合にはその代価は余りに大きい。なんたって永遠の栄光に浴する機会を逃したのだからね。
 さあ君も私も神を信じる方に賭けようではないか!」

不可知なものを肯定する場合このようなやり方が出てきてしまう。しかし、グラーフ・ツェッペリンはそれをよしとしない。「可能性」を残していたらパスカル的な賭けに逃げる可能性がある。ゆえにグラーフ・ツェッペリンは己の感情を「偽物」と措定したのだ。

しかし、勇み足でそう決めたのも束の間、頭を抱えた。「私はアドミラルを好いている。しかし、それは(非本来的という意味で)偽物である」。ここから一歩も思考は進まなかった。

この命題は致死的な矛盾を孕むわけではない。愛は事実的であり、ただその出自が不自然であるというだけだから。しかし、グラーフ・ツェッペリンにはその非本来的愛に従うことはできなかった。



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