252:名無しNIPPER[saga]
2016/08/25(木) 14:43:26.02 ID:TLj9UmSq0
「……最近、どう?」
コーヒーを一口飲んで、母は口を開いた。
「まあ、ぼちぼち」
253:名無しNIPPER[saga]
2016/08/25(木) 14:46:04.59 ID:TLj9UmSq0
「聞いたよ? ねえちゃんから……」
なにを言いやがった、とヒヤヒヤしながら、逃げるようにコーヒーに口をつける。
「ちょっと前に、ちょうど帰ってきたとき、コンビニに出かけようとしていたねえちゃんに出会ってね。少し話したのよ」
254:名無しNIPPER[saga]
2016/08/25(木) 14:48:50.66 ID:TLj9UmSq0
まだ何か言おうとしていたが、続きが思い浮かばなかったようで、母はトーストに目線を落とした。
俺もコーヒーを少し啜る。
255:名無しNIPPER[saga]
2016/08/25(木) 14:49:38.75 ID:TLj9UmSq0
「もう高校生も半分終わってるのね」
沈黙を打ち破るように、母が呟く。
そうだね。気がついたらもう十七だ。
256:名無しNIPPER[saga]
2016/08/25(木) 14:50:34.05 ID:TLj9UmSq0
つづく。
257:名無しNIPPER[sage]
2016/08/25(木) 16:49:11.10 ID:DNKvqdfgO
ちゃんと親の存在の見える学園ものって好きよ
258:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 21:53:43.55 ID:qsBzmbI/0
八月の半ばごろ、近所の河原で花火大会が開催される。
広い河原にいくつもの屋台が立ち並び、わりと豪華な花火が何発も打ち上げられる。
近所の人から、遠方からわざわざ見に来る人まで、たくさんの人が河原やその周辺に溢れかえる。
259:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 21:55:40.30 ID:qsBzmbI/0
当日。
想像通り、ムギちゃん、なーちゃん、ハルの三人は、祭りを楽しみにしていたらしく、わいわいと騒ぎながら歩いていた。
でも、明日にはムギちゃんが帰ってしまうせいか、いつもよりはしゃぐ声が小さい気がした。
260:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 21:59:30.02 ID:qsBzmbI/0
屋台の群れの中に入ると、周りの人が何を言っているのかわからないほどの喧騒に包まれた。
一人一人は騒いでいるわけではないのに、その人混みの中に入ると、隣の人の声すら聞きづらくなる。
お互い姿を見失わないように屋台を見て回っていると、予想に反して、ねえちゃんとナナコは随分とはしゃいでいた。
子供達と一緒になって、屋台を満喫している。
261:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:01:24.53 ID:qsBzmbI/0
途中で射的の屋台があって、ムギちゃんがやりたい、と言ったので、そこで立ち止まる。
ムギちゃんは一発も当てられなかった。でも楽しそうだった。
部長とハルはそこそこで、初めの数発は外したものの、半分くらいは的に当たっていた。
262:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:05:05.23 ID:qsBzmbI/0
足元には河原特有の大きめの砂利が敷き詰めてあって、まっすぐ歩くのは難しい。ゆっくりと転ばないように歩く。
少し後ろから、はぐれないように、俺の服の裾が、遠慮がちにつままれていた。
弱めの力で、でも離れないような、まるで裾に自分の意識が移ってしまったかのように、鮮明に感覚が伝わってきた。
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