過去ログ - 梓「嵐の夜に」
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:05:08.07 ID:Ljuzcmhc0
「思ってたよりずいぶんはげしいな」

律先輩はあくびを噛み殺しながらそう言った。

「なぁ梓。これから予定ある?」
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:05:52.45 ID:Ljuzcmhc0
どれくらいここにいるつもりですか?
雨がマシになるまで。
は? そんなこと言ったらいつになるかわかりませんよ。
だってこんなに雨降ってたらぜったい濡れるじゃん。

以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:06:29.80 ID:Ljuzcmhc0
閑散としたアーケード街の入り口あたりのビルに入り、そこの一階で受付を済ますと、わたしたちはエレベーターに乗って3階まであがった。
こんな台風の日に働いているアルバイトの人たちは、一体どうやって帰るつもりなんだろう。けれどわたしたちだってひとのことは言えない。

歌い終わった律先輩はコーラの入ったコップを手に取り、一気に飲み干した。

以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:07:09.31 ID:Ljuzcmhc0
歌えば喉が渇いて、喉が渇けば飲み物が欲しくなり、なにかを飲めばトイレに行きたくなり…
部屋の外からも止むことのない雨と風の音が聞こえてくる。勢いは弱まるどころかますます強まるようだった。

「なくなってたから補充しといた」

以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:07:38.94 ID:Ljuzcmhc0
「雨、どう?」

「まだけっこう降ってますよ」

「そっかぁ」
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:08:40.91 ID:Ljuzcmhc0
「台風ってさぁ、好きなんだよね」

びゅうびゅう風が吹いて、ざぁざぁ雨が降って、いろんなもんがぜーんぶ吹き飛ばされて流されてぶっ壊されてくみたいでさ、なんかさぁ、すっきりするっていうか、わくわくするっていうか。

「不謹慎ですね」
以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:09:38.55 ID:Ljuzcmhc0
「歌ってすこしは気ぃ晴れた?」

「………!」

「こーんな台風の日にさ、そんなでっかいリュック背負ってバス停に一人で座ってりゃ、なにかあったのかも〜って思うに決まってるだろ」
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:10:23.13 ID:Ljuzcmhc0
ゆさゆさと身体を揺すられているのに気づいて目を開くと、前髪を垂らした律先輩がそこにいた。
寝るときは外してるっつーの。わたしが目を覚ますと、恥ずかしそうに顔を背けてカチューシャをつけた。

ビルの外に出ると、雲の合間から日差しが差し込んでいた。眩しく思わず目を背ける。
晴れたなぁ。晴れましたね。いま何時ですか? いま? えーっと…ちょうど6時。バス動いてますかね? たぶんな。家帰ってシャワー浴びてそれからすぐ学校か…。律先輩は憂鬱そうに呟いてちいさくあくびをした。
以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 23:11:37.91 ID:Ljuzcmhc0
「迎えに行きます」

「いーよ、別に」

「行きます。だってそうじゃないと律先輩、二度寝して遅刻するでしょ」
以下略



29:名無しNIPPER[sage]
2016/08/20(土) 23:14:14.88 ID:gOZ0cTTJO

最近けいおんSS見かけなかった上に、好みな文体だったから凄い良かった


30:名無しNIPPER[sage]
2016/08/20(土) 23:54:42.40 ID:y6g2BBzJO
よき……

すっごい久しぶりにけいおんSS見た気がするけど、とっても良かった



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