過去ログ - 【ミリマス】765プロ昔話『だいくとおにろこ』
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:17:03.49 ID:COmojWpi0
むかしむかし、あるところに流れの早い川がありました。
幅の広い大きな川でしたが、大雨が降った日などは山からどうどうと流れる水がやってきます。
そうなると、川の水は岸をわたしている橋をくだき、ひしゃげさせながら押し流していきます。何度橋をかけなおしても同じことがくりかえされるので、人々は大変困っておりました。
橋がないと、ずっと下流へ遠回りせねば向こう岸まで行けません。橋が流されるたびに、村の者も町の者も、歩いて歩いて、やっとのことで川を渡るのでした。
すっかり弱った川岸の人々はみな寄り合って相談し、腕の立つ大工に、川の流れに負けない丈夫な橋をかけてもらうことにしました。
恵美「それはほうっておけないね。アタシにまかせておきなさい」
困り果てた人たちを思いやった大工は、彼らの頼みをこころよく引き受けたのでした。
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2
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:18:35.98 ID:COmojWpi0
さて橋を架けようと思い立つも、川のようすをしっかり観察しないことには始まりません。
何度も橋を押し流した川の流れとは、どんなものなのか。雨が降るのに合わせて、大工は川のようすを見に行きました。
はじめ、川の流れはおだやかに見えましたが、降りつのる雨に応じて水の勢いは激しさを増していきます。
以下略
3
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:22:30.55 ID:COmojWpi0
大工は、川底からぶくぶくと泡が湧いてきていることに気が付きました。
奇妙に思って眺めていると、なんと泡の中から、豊かな髪にかわいらしい髪飾りをつけた女の子が出てきたではありませんか。
恵美「お、お前、なにものだ。人間じゃあないね」
以下略
4
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:23:54.12 ID:COmojWpi0
なにがおかしいのかと大工が問うと、鬼は得意げな表情で言いました。
鬼「そんなもの、私がインナミニッツでビルドしてさしあげますよ」
恵美「なにっ。そりゃどういう意味だい」
以下略
5
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:25:01.14 ID:COmojWpi0
笑顔をくずさない鬼は、大工に向かってこう続けます。
鬼「しかし、これではあなただけがプロフィットをゲインすることになりますから、橋ができたら代わりにあなたのアイボールをテイストさせてもらいましょう」
恵美「面白いじゃんか。なに言ってるかわからないけど、やれるものならやってみなよ」
以下略
6
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:26:27.04 ID:COmojWpi0
家に着いてから、大工は考えました。鬼が出てくるなんて夢のようにも思えましたが、自分の目でじかに見たことですから、気にしないわけにもいきません。
大工の頭に、鬼のことばが浮かびます。
「代わりにあなたのアイボールをテイストさせてもらいましょう」
以下略
7
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:29:52.61 ID:COmojWpi0
翌日、大工がいつものように川へ行くと人だかりができています。
人ごみをかきわけて見ると、なんと、そこには作りかけの橋がかかっているのでした。
恵美「なんだこりゃあ……」
以下略
8
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:30:58.25 ID:COmojWpi0
春香「それにしても不思議な橋だねえ。橋げたがない橋なんて、私、見たことないよ」
琴葉「けれど、橋げたがなければ流される心配もずっと少なくなるわ。……あっ、大工さんじゃないですか」
橋のそばでざわざわしていた人々は、大工がいることに気付くと口々に彼女をほめたたえました。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:32:58.92 ID:COmojWpi0
さて、大工が一人になると、またもや川淵の底から泡がぶくぶくと浮かび上がってきます。
そのようすを見ていると、やはり昨日の鬼が姿をあらわしました。
鬼「あなたのアイボールはもらいますよ」
以下略
10
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:33:32.95 ID:COmojWpi0
夜、大工が身を隠しながら橋を観察していると、例の鬼が半分かかった橋の上に立っているのが見えました。
鬼はどこからか持ってきた材木をひょいと持ち上げ、いくつもある道具を器用に使いながら、橋へ組むためにそれらをととのえていきます。
そうしてできた木々を上手に組んで橋作りをすすめていく鬼のうで前に、大工は思わずうなりました。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:38:36.27 ID:COmojWpi0
ふと、鬼は作業の手を止め、大工に聞こえるように言いました。
鬼「そこで見ているのはわかっていますよ。あなたのアイボールは、この私が必ずゲットしますからね」
鬼「しかし、これではあなたがあまりにもピティです。ですから、私の名前がわかったらその知恵に免じて見逃してあげることにしましょう」
以下略
12
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:39:39.02 ID:COmojWpi0
恵美「ああ、どうしたものだろう。あいつの名前がわかれば、なんとかなるかもしれないけれど」
とはいうものの、どうやって鬼の名前を知ることができるのか、まったく思いつきません。
町の人や村の人はきっと鬼のことを知らないでしょう。知っていたら前もって大工におしえているはずですし、話題に上がったこともないのです。
以下略
13
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:40:42.18 ID:COmojWpi0
さしあたって、大工は山を越えた先にある村をめざすことにしました。月と星の明かりをたよりに、暗い山道をせかせかと急いでいきます。
恵美「それにしても、しゃくだなあ。おちょくってきた鬼とやりあった、アタシがうかつだったか」
むかむかする気持ちに、大工の口からは小言がもれます。何がわるかったのかと考えるほどに、鬼のいじわるさと自分の浅はかさに対する怒りがわいてきました。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:42:42.13 ID:COmojWpi0
さて、ちょうど山道を降りてきたころでした。
わき水の流れている辺りに大工が座って休んでいると、どこからか奇妙な歌声が聞こえてきます。
耳をすますと、かわいい女の子の声がさきほどよりもたしかに耳へ届いてきました。
以下略
15
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名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:46:00.52 ID:COmojWpi0
すぐに声の主を見つけた大工は、相手へ声をかけました。
恵美「そこのおまえさん。ずいぶん変わった歌をうたうんだね」
桃子「えっ。ひょっとして、桃子の歌をきいていたの」
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16
:
名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:48:21.56 ID:COmojWpi0
はじめはつっけんどんな態度でいた女の子でしたが、大工の人当たりのよさもあって、少しづつ大工の話に応えるようになっていきました。
恵美「すると今の歌は、夜ふけになるとこのあたりに来るという、君の友達が教えてくれた歌なんだね」
桃子「うん。でも、昨日は来てくれなかったの。今日も待ってるのに、まだ来なくて」
以下略
17
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名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:49:57.28 ID:COmojWpi0
さて、そうしている内にも時間はちくたく過ぎていくわけで、先を急ぐ大工としては都合がよろしくありません。
いいかげん、この子と別れなくては。そう思った大工は、最後にこんなお願いをしたのでした。
恵美「ねえねえ。お友達が教えてくれた歌、一曲でいいからアタシにも教えてくれないかな」
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18
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名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:51:33.75 ID:COmojWpi0
桃子「どう。お姉さん、おぼえられたかな」
恵美「ううん。はっきりいって、これは覚えられる気がしないね。音の流れだけなら、何とかなりそうだけどさ」
大工の言うことを聞きながら、女の子はうんうんとうなずきます。
以下略
19
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名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:53:43.25 ID:COmojWpi0
女の子と別れた大工は、ある考えを胸に秘め、今まで歩いて来た道を走ってもとへ戻っていきました。
夜の月はすっかり沈んで、空も白んできています。うっすらと霧の立ちこめる例の川ぶちには、両岸に架かる立派な橋ができあがっていました。
橋のたもとには、大工の他にだれもいません。その場でじいっと待っていると、ぼこぼこと湧き上がる泡とともに、鬼が姿をあらわしました。
以下略
20
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名無しNIPPER
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2016/09/26(月) 23:55:15.92 ID:COmojWpi0
鬼「あなたのカレッジは認めましょう。さあさあ、みごと私の名前を答えてみなさい」
鬼の大きな大きな声に応じるように、大工も大声で鬼の名前をさけびます。
恵美「お前の名前ははしこという。橋をかける、橋子だ」
以下略
21
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/26(月) 23:57:10.62 ID:COmojWpi0
二人の声に負けじと川は音を立ててどうどうと流れます。
川淵に向かい合う鬼と大工は、身を乗り出すようにして互いに相手の目を見すえておりました。
鬼「ブレイブリィなカーペンターさん、そろそろ人がやってきます。次が最後のつもりで答えてみなさい」
以下略
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