過去ログ - 【ミリマス】765プロ昔話『だいくとおにろこ』
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10:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:33:32.95 ID:COmojWpi0
夜、大工が身を隠しながら橋を観察していると、例の鬼が半分かかった橋の上に立っているのが見えました。

鬼はどこからか持ってきた材木をひょいと持ち上げ、いくつもある道具を器用に使いながら、橋へ組むためにそれらをととのえていきます。

そうしてできた木々を上手に組んで橋作りをすすめていく鬼のうで前に、大工は思わずうなりました。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:38:36.27 ID:COmojWpi0
ふと、鬼は作業の手を止め、大工に聞こえるように言いました。

鬼「そこで見ているのはわかっていますよ。あなたのアイボールは、この私が必ずゲットしますからね」

鬼「しかし、これではあなたがあまりにもピティです。ですから、私の名前がわかったらその知恵に免じて見逃してあげることにしましょう」
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:39:39.02 ID:COmojWpi0
恵美「ああ、どうしたものだろう。あいつの名前がわかれば、なんとかなるかもしれないけれど」

とはいうものの、どうやって鬼の名前を知ることができるのか、まったく思いつきません。

町の人や村の人はきっと鬼のことを知らないでしょう。知っていたら前もって大工におしえているはずですし、話題に上がったこともないのです。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:40:42.18 ID:COmojWpi0
さしあたって、大工は山を越えた先にある村をめざすことにしました。月と星の明かりをたよりに、暗い山道をせかせかと急いでいきます。

恵美「それにしても、しゃくだなあ。おちょくってきた鬼とやりあった、アタシがうかつだったか」

むかむかする気持ちに、大工の口からは小言がもれます。何がわるかったのかと考えるほどに、鬼のいじわるさと自分の浅はかさに対する怒りがわいてきました。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:42:42.13 ID:COmojWpi0
さて、ちょうど山道を降りてきたころでした。

わき水の流れている辺りに大工が座って休んでいると、どこからか奇妙な歌声が聞こえてきます。

耳をすますと、かわいい女の子の声がさきほどよりもたしかに耳へ届いてきました。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:46:00.52 ID:COmojWpi0
すぐに声の主を見つけた大工は、相手へ声をかけました。

恵美「そこのおまえさん。ずいぶん変わった歌をうたうんだね」

桃子「えっ。ひょっとして、桃子の歌をきいていたの」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:48:21.56 ID:COmojWpi0
はじめはつっけんどんな態度でいた女の子でしたが、大工の人当たりのよさもあって、少しづつ大工の話に応えるようになっていきました。

恵美「すると今の歌は、夜ふけになるとこのあたりに来るという、君の友達が教えてくれた歌なんだね」

桃子「うん。でも、昨日は来てくれなかったの。今日も待ってるのに、まだ来なくて」
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:49:57.28 ID:COmojWpi0
さて、そうしている内にも時間はちくたく過ぎていくわけで、先を急ぐ大工としては都合がよろしくありません。

いいかげん、この子と別れなくては。そう思った大工は、最後にこんなお願いをしたのでした。

恵美「ねえねえ。お友達が教えてくれた歌、一曲でいいからアタシにも教えてくれないかな」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:51:33.75 ID:COmojWpi0
桃子「どう。お姉さん、おぼえられたかな」

恵美「ううん。はっきりいって、これは覚えられる気がしないね。音の流れだけなら、何とかなりそうだけどさ」

大工の言うことを聞きながら、女の子はうんうんとうなずきます。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:53:43.25 ID:COmojWpi0
女の子と別れた大工は、ある考えを胸に秘め、今まで歩いて来た道を走ってもとへ戻っていきました。

夜の月はすっかり沈んで、空も白んできています。うっすらと霧の立ちこめる例の川ぶちには、両岸に架かる立派な橋ができあがっていました。

橋のたもとには、大工の他にだれもいません。その場でじいっと待っていると、ぼこぼこと湧き上がる泡とともに、鬼が姿をあらわしました。
以下略



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