過去ログ - 【ミリマス】765プロ昔話『だいくとおにろこ』
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17:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:49:57.28 ID:COmojWpi0
さて、そうしている内にも時間はちくたく過ぎていくわけで、先を急ぐ大工としては都合がよろしくありません。

いいかげん、この子と別れなくては。そう思った大工は、最後にこんなお願いをしたのでした。

恵美「ねえねえ。お友達が教えてくれた歌、一曲でいいからアタシにも教えてくれないかな」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:51:33.75 ID:COmojWpi0
桃子「どう。お姉さん、おぼえられたかな」

恵美「ううん。はっきりいって、これは覚えられる気がしないね。音の流れだけなら、何とかなりそうだけどさ」

大工の言うことを聞きながら、女の子はうんうんとうなずきます。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:53:43.25 ID:COmojWpi0
女の子と別れた大工は、ある考えを胸に秘め、今まで歩いて来た道を走ってもとへ戻っていきました。

夜の月はすっかり沈んで、空も白んできています。うっすらと霧の立ちこめる例の川ぶちには、両岸に架かる立派な橋ができあがっていました。

橋のたもとには、大工の他にだれもいません。その場でじいっと待っていると、ぼこぼこと湧き上がる泡とともに、鬼が姿をあらわしました。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:55:15.92 ID:COmojWpi0
鬼「あなたのカレッジは認めましょう。さあさあ、みごと私の名前を答えてみなさい」

鬼の大きな大きな声に応じるように、大工も大声で鬼の名前をさけびます。

恵美「お前の名前ははしこという。橋をかける、橋子だ」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:57:10.62 ID:COmojWpi0
二人の声に負けじと川は音を立ててどうどうと流れます。

川淵に向かい合う鬼と大工は、身を乗り出すようにして互いに相手の目を見すえておりました。

鬼「ブレイブリィなカーペンターさん、そろそろ人がやってきます。次が最後のつもりで答えてみなさい」
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 23:57:39.89 ID:COmojWpi0
恵美「お前の名前は、ろこだ。橋を架けたは、おにろこっ」



次の瞬間、鬼はうーっとうめくような声を出して川底へと姿を消していきました。
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:03:22.94 ID:WPhsKt5Q0
川は、さきほどと変わらずにどうどうと音を立てて流れています。大工の見つめる淵に浮かび上がってくるものはなにもありません。

大工は、鬼の出てきた淵に向かって言いました。

恵美「ろこ、出てきなよ。あんたに話がある」
以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:06:54.87 ID:WPhsKt5Q0
むかしむかし、あるところに流れの早い川がありました。大雨が降った日などは、どうどうと流れる水が橋をくだき、ひしゃげさせながら押し流していきました。

何度橋をかけなおしても同じことがくりかえされるので、困った人々は相談して、とある大工に丈夫な橋をかけてもらうことにしました。

そうして立派で丈夫な橋を架けた、この大工。もとより腕が立つと評判の職人でしたが、橋を架けてからはますます評判になっていきます。
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:10:56.03 ID:WPhsKt5Q0
亜美「おいおいお前さん、そう何度も歌ってるのを見ているってのに、どうして最初の一回でやめておかないんだい」

真美「だってだって。ずいぶん楽しそうにしているんだから、怖くたってついつい見に行ってしまうだよう」

亜美「へえ。楽しいっていうのは、どんな感じなのさ」
以下略



26: ◆Jnlik0MEGA[sage]
2016/09/27(火) 00:16:32.95 ID:vcnBJQxz0
ルンペルシュティルツヒェンみたいな話日本にもあるんだね
乙です

>>1
所恵美
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:22:27.42 ID:WPhsKt5Q0
『大工と鬼六』は大正時代にできた創話が元だそうですが、例によって色んなバリエーションの話がありました。

そういうわけで、自分の力量不足も手伝い変な物語になってしまった気がします。子供の頃に読んだお話を好き勝手に変えていくのは、難しくも楽しかったです。

読んでくださった皆さま、ありがとうございました。
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