過去ログ - 天の原ふりさけ見れば春日なる...
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24: ◆cDyTypz3/.[saga]
2016/10/04(火) 22:59:41.19 ID:NypoJ6GT0
遡上。一六〇〇。
提督が潜水艦の脅威を大幅に過小評価していたと気づくのはその三時間前。既に空母機動部隊が無線封鎖海域に入った後だった。
提督が全力で通信基地へ駆け抜け、ドアを蹴り開ける。
驚く通信士達を横目に、強張る手で補給艦隊に割り当てていた周波数に摘まみを合わせた。
提督「五月雨、聞こえるか」
名乗りすら上げずに五月雨を呼ぶ。
五月雨「間もなく無線封鎖域に入りますから、手短にお願いします」
すぐに五月雨の声が聞こえた。
提督「その海域にいる潜水艦、嫌な予感がする」
五月雨「嫌な予感、ですか?」
提督「群狼作戦、五月雨は知ってるか」
五月雨「それぐらいは知ってます」
提督「脅威が潜水艦しかいないなら、奴らは潜水艦だけで最大限の迎撃を仕掛けてくるはずだ」
何でもっと早くこれに気づけなかったんだ、と小さな声で提督が自分を罵る。
提督「1隻でも潜水艦を見つけたらすぐに沈めろ。連絡の隙を絶対に与えるな。さっきは命令しなかったが、定期的に音響装置を使うのを絶対に忘れないようにしろ」
五月雨「提督、もしそうなら先に行った機動部隊の皆さんが「あぁ、まずい」
提督「これ以上ないぐらいに非常にまずい。あいつらなら大丈夫と信じたいが・・・」
五月雨「救援に向かいますか」
提督「行っても混乱を招くだけだ。空母の通過で空いた包囲網ももう閉じられているはずだから、もし今いけば「蛾の火に赴くが如し、ですか」
五月雨「ですが、赤城さん達を放っておくわけにはいきません」
提督「赤城が指揮する艦隊なら逃げおおせてみせてくれるさ。俺がお前らに頼みたいのは「潜水艦の撃滅ですね」
五月雨「わかりました。厳重警戒の上、全艦撃破します
立て続けに二回も言葉を続けられて、提督は失笑してしまう。
提督「話が早くて助かる。俺が言いたかったのはその通りだ。頼むぞ、五月雨」
五月雨「任せてください。伊達に戦ってきてませんから」
提督「それと、赤城達が敵に見つかって逃げている状態なら、赤城が洋上待機じゃなく航行続行を選ぶ可能性が高い。潜水艦と離れ続けられる速度で動いているだろうから、予想地点を考慮したほうがいい」
五月雨「わかりました。捜索も平行して殲滅します」
それでは、無線封鎖域に入りますから、と言って五月雨は通信を切断した。
潜水艦の全艦撃破、かなり困難な作戦のはずなのに、五月雨にかかるとそう聞こえないから不思議だ。
提督「頼んだぞ、五月雨」
特務艦舞鶴が横浜に来るのは丁度作戦が佳境に入るであろう21時間後だ。
それまでは、成功を祈って待ち続けるより他にない。
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