5:名無しNIPPER
2016/10/26(水) 01:32:10.77 ID:DdD2BNiL0
「だ、大丈夫ダヨー」
(え?日本語?)
まさかの滑らかな日本語の返事に目を丸くする俺たちを余所に、褐色肌の少女はテコテコと歩き出……こちらを向いた。
「あ、あの、し、シブヤ?にはどうやって行くのカナ?」
恥ずかしそうに尋ねるその表情は、第一印象よりも幼く見えた。
「あ、渋谷に行くの?だったらね…」
京成本線からの乗り継ぎを教え始めた聖來と、それを熱心に聞く褐色肌の少女を眺めながら、俺はどうにも小骨が支えた思いをしていた。
(どこでだっけ?)
この褐色肌の少女には見覚えがあった。
つい最近、いや、むしろ今日、彼女の顔をどこかで……!
「あ、思い出した」
「「え?」」
思わず声に出た。
「君、これからウチでオーディション受ける子だろ?」
オーディションという言葉に、褐色肌の少女は瞠目した。
ぽかーんと俺と褐色肌の少女を交互に見る聖來に教えてやる。
「ほら、伊吹担当Pが審査するやつ」
ああ、と声にならない声を上げ、聖來は褐色肌の少女に微笑みかける。
そう、俺は確かにこの褐色肌の少女を見ている。
伊吹担当Pの抱えていたファイル。そのファイル越しに。
少々ボヤけてはいたものの、彼女は確かに太陽の様に笑っていた。
我ながらよく見ていたなと感心しつつ、改めて場を見て、気付いた。
この2人、まったく同じ身長だ。
日本の成人女性としては小柄な聖來と同じ身長の外国人女性となると……。
「……君、まだ未成年だろ?」
一々新鮮な驚きを見せる褐色肌の少女がマジマジと俺を見上げ、小さく頷く。
だが、そんな反応には構っていられない者が一人いた。
ジュエリークールが誇る三大ユニット、トライアドプリムス、月下氷姫、セーラーマリナーにおいて、ワースト2位の長身アイドルだ。
「え?今いくつ?」
少し声を震わせながら、聖來が尋ねた。
おお、尻尾の振りが消えた。
担当Pとしては申し訳ないが、個人的にこの質問をする時の聖來が大好きだったりする。
ブロッサムキュートの乙倉ちゃんとの遣り取りなんか傑作だった。
「じゅ、14歳だヨー」
「……ウソでしょ」
おい聖來、ショックなのは分かるし外国人は老けて見えるって言うが、もう少しは気を使……ウッソだろ!?14でそこまでおっ○い育つの?
「負けた、色々負けた……」
あ、聖來全然反応しない。
こりゃ相当ショックだったな?
何はともあれ、この少女は運がいい。
城に向かう馬車の手配は、俺の専門分野だ。
トランジスタグラマーな14歳の中学生と同身長の23歳アイドルの落胆は一旦放っておいて、俺は名刺と数枚の福沢先生を用意する。
「よし、ならタクシー乗り場に行こう」
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