過去ログ - 【ペルソナ5 佐倉双葉SS】ケスラー・シンドローム;Surrender
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76:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:08:21.13 ID:R5q4UVjHo
 噛んだ。しかもおかしなこと言ってるし。

「緊張してる?」

「し、してる」
以下略



77:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:10:05.07 ID:R5q4UVjHo
「うん。聞かせて」

「まずは、昨日言いかけて言えなかったこと。……ありがとう、だ」

 こんな簡単なことぐらい、昨日言っておけばよかった。
以下略



78:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:11:32.13 ID:R5q4UVjHo
「何が?」

「昨日わたしが寝ちゃってて、それをさっきごめんって言ったら別にいいって言ってくれた。怒ってなくて安心ってなるのかと思ったら、違った。わたし、別に行かなくてもよかったの? って思った」

「それは違う」
以下略



79:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:13:32.38 ID:R5q4UVjHo
「わたし、ちゃんとカノジョ? ちゃんと必要とされてる? もし、わたしだけが一方的に依存してるようなら、それを好きって言ってもいいのか、わかんない。助けてもらった直後はね、他のことなんて全然見えてなかったからそれでもよかったんだ。けど高校行くようになって、やっと周りが見えてきたら、それでいいのかって思うようになった」

 ダメだ。平静じゃいられなくなってきた。胸の内の暗い塊が大きくなった気がする。

「昨日一緒にいた友達の子に、今日、言われた。わたしたち、兄妹みたいだったって。別に、周りから妹って言われてもそんなに悪い気はしない。こんな頼りになるお兄ちゃんなら、ほしい。自慢できるし」
以下略



80:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:14:51.34 ID:R5q4UVjHo
「双葉……」

 彼が驚いたようにわたしの名を呟いた。

 言葉が、感情が溢れてくる。
以下略



81:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:18:23.80 ID:R5q4UVjHo
 もう止まらない。涙も、嗚咽も。

「わたしは、まだまだ、子供だよ……。ぇぐっ、けどさ、けど、クリスマのあとだって、わたしに黙っていなくなって、どれだけ悲しくて、寂しかったと思ってんだッ! …………わたしが、ひっく、頼りにならないなんて、わかってるよ……。でも、ちゃんと言ってよ……。わたしも、隣に立ちたい……。ちゃんと、彼女になりたいんだよぉ……」

 水滴が頬を伝って流れ落ちた。目は血が出てるのかと思うぐらい熱いのに、流れ落ちたあとは冷たい。
以下略



82:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:20:36.60 ID:R5q4UVjHo
 ほんとは隣に行きたいけど、子供のワガママみたいなことを言ってしまった手前、素直に甘える気にはなれなかった。

 お互い沈黙したまま目線を交わした。わたしの鼻を啜る音に混ざって、パソコンの起動音と時計の刻む音が聞こえる。

 やがて、彼はおもむろに立ち上がり、わたしの手を掴んで椅子から立たせると、
以下略



83:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:22:21.55 ID:R5q4UVjHo
 不意を突かれた驚きという別の感情が勝り、昂りは波が引くように薄らいでいった。目から溢れていたものもおさまり始めた。

「聞いて」

 彼の真剣な眼差しにたじろぎ、体を硬直させた。膝の上で抱えられたまま。
以下略



84:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:24:31.52 ID:R5q4UVjHo
 そんな甘い言葉をおいそれと信じるわたしではない。案外意固地なんだぞ、わたしは。

「嘘じゃない。双葉がいなきゃ今もこっちに帰ってきてないし、大学をこっちにしようなんて思ってない。向こうで嫌なことがあっても、双葉の存在が支えになってる」

「…………ほんとに?」
以下略



85:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:25:12.06 ID:R5q4UVjHo
「双葉はまだ子供だって言ったけど、それは俺も同じだよ。誰かの助けがないとしんどいし、生活だってままならない。無理に変わろうとしなくたって大丈夫、双葉は成長してる」

「って言われても、自分じゃよくわかんない……」

「ちゃんと高校生やれてるじゃないか」
以下略



86:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 16:28:32.05 ID:R5q4UVjHo
「…………うん。じゃあ、信じる。でもわたし、もっと釣り合うような子になってみせるから……見てて」

「わかった」

 膝に横向きに座ったまま、首にしがみついた。わたしの顔は彼の肩ぐらいにある。でっかいな。いや、わたしがちっちゃいのか。
以下略



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