過去ログ - モバP「ある夜の物語」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:14:43.11 ID:PFik2ZI10

一人の男が狭い部屋にいた。

世間は華やかなクリスマスイブだというのに一人酒をあおるばかり。

彼は立派な職場に勤めてはいたが、あまりぱっとしない地位にいた。

「はぁ…」

ついでに髪もあまりぱっとしなかった。


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2:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:15:26.29 ID:PFik2ZI10

今年こそは恋人を、なんて意気込んでみたはいいものの、彼にはそんな縁も、ツテも、加えてお金も無かった。

彼はプロデューサーであったし、さらに緑の悪魔が定期的に彼の財布を蹂躙する為である。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:16:48.70 ID:PFik2ZI10

いくらか酔いが回り始めた頃。

ふと気が付くと目の前にサンタがいた。

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:17:19.35 ID:PFik2ZI10

「どうやら本物らしい。それでサンタさんがなんの御用で?」

「えっと、寂しそうでしたので、お好きなものを一つプレゼントしようかと〜」

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:18:17.20 ID:PFik2ZI10

ふと思い立つ。

「例えば…例えば、他所の人のところに言って欲しいと願ったらどうなる?」

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:20:26.16 ID:PFik2ZI10

「これが実に馬鹿げた提案だというのは理解している。だが自分なんかよりももっと気の毒な人がいるはずだ。その人の下に行ってあげて欲しい」

「気の毒な人と言われましても〜」

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:21:05.54 ID:PFik2ZI10

さて、こちらは病弱な少女。

クリスマスだというのに寝たきりのまま、鬱憤ばかりつのらせていた。

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:21:54.41 ID:PFik2ZI10

そこへサンタが現れる。

「こんばんは〜」

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:22:40.33 ID:PFik2ZI10

そこで思い当たる。

そういえばサンタさんは何で来てくれたんだろう。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:24:53.55 ID:PFik2ZI10

サンタが話し終わると

「なるほど…今夜は一人だったんだ」

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:25:25.54 ID:PFik2ZI10

「あ、サンタさん。私はもう充分なプレゼント貰ったからどっか他の人のとこ行ってあげて」

「またですか〜」

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:26:08.78 ID:PFik2ZI10

金貸し屋はせっかくのイブだというのに通帳を眺めていた。

高そうなワインで口元を湿らせる。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:26:40.74 ID:PFik2ZI10

「こんばんは〜サンタですよ〜」

「あら、お客様?借りるならまず誓約書にサインを書いて頂いてですね」

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:28:28.55 ID:PFik2ZI10

「お金ですか、具体的な金額で提示して頂けますか〜?」

「そうですねぇ…」

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:29:07.18 ID:PFik2ZI10

金貸し屋は、お金のことしか頭に無かった自分が少し恥ずかしくなった。

そうだ、せっかく善意で回してくれたならそれに報いるような願いをしよう。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:30:05.33 ID:PFik2ZI10

「というわけで…そうですね、私よりずっと不幸な子の下に行ってくれませんか?」

「やっぱりですかぁ〜」

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:31:13.05 ID:PFik2ZI10

その娘は、生まれつき薄幸であった。

歩けば転び、座れば椅子が壊れ、口を開けば舌を噛む、そんな人生。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:31:57.67 ID:PFik2ZI10

「こんばんは〜」

「……えっ?」

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:32:40.78 ID:PFik2ZI10

「今のはおまけですので改めてお願いを〜」

「……どうしようかな」

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:33:14.60 ID:PFik2ZI10

日付が変わり、サンタは自宅に帰ってきた。

「ただいま〜寒かったね〜ブリッツェン」

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/12/13(火) 02:34:52.79 ID:PFik2ZI10

以上です

元ネタは星新一先生の『ある夜の物語』


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