23:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:19:42.20 ID:YiqUyrv20
「……っ!!」
鷺沢文香の両手が肩に触れた瞬間、日野茜の身体がビクっと、緊張で震えた。
顔の赤らみは増し、力の入った眉は絵に描いたかの様に八の字を形作っている。
24:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:24:08.67 ID:YiqUyrv20
「それでは、茜さん。……失礼、します」
「――っ!! は、はいっ……」
果たして鷺沢文香は、行為に踏み切った。
互いの頬同士を触れ合わせる様な形で、日野茜に顔を近付ける。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:34:43.32 ID:YiqUyrv20
そんな日野茜の緊張は、勿論鷺沢文香にも伝わっていた。
もし逆の立場だったならと考えると、やはり近い内にお返しをしなくてはならないと思わせられた。
しかし行為の最中、鷺沢文香の『知』は、そんな理性を置き去りにしていた。
日野茜の匂いを嗅いだ彼女の意識は、深く、夢中の底へと沈み込んでいた。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:38:14.01 ID:YiqUyrv20
――ああ、自分の中にもあったのだと、鷺沢文香はふと思い至って、満たされた気持ちになる。
自分の中に眠っていた、歓びの欠片。
輝く碧を見つけた時の様な、爽やかな、幸せを感じる、あの匂い。
知っていたことに気付けていなかったのだと、今やっと、気付くことができた。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:43:50.27 ID:YiqUyrv20
そして、そこまで思考が巡った後に、彼女の意識はようやく理性の下へと戻ってくる。
気が付けば、緊張の極致にある日野茜が、まるで解放の時を待つかの様に服の裾を握りしめていた。
「……」
28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:10:08.53 ID:YiqUyrv20
突然の抱擁に、日野茜も驚きから思わず目を見開き、掴んでいた鷺沢文香の服の裾を手放す。
「!!? えっ、あ、あのっ、文香ちゃん……!?」
29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:27:56.68 ID:YiqUyrv20
為されるがままとなった日野茜と、思うがまま幸せな気持ちを堪能する鷺沢文香。
しばらくの間、その状態は続いた。
そして、それが打ち切られたのは、やはり訪問者の力によるものだった。
30:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:30:40.12 ID:YiqUyrv20
31:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:34:19.97 ID:YiqUyrv20
「「「!?!!?」」」
突然の第三者の声に、鷺沢文香は反射的に日野茜から離れ、日野茜もまた、不意に理性を取り戻す。
そして二人は、ドアの向こうから聞こえてきた声――赤城みりあから挨拶を投げ掛けられたであろう、『美嘉ちゃん』を探す。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:38:59.06 ID:YiqUyrv20
謝る段になった時、赤城みりあは間違いなく、二人に何をしていたのかを尋ねるだろう。
それは悪意などではなく、純粋に彼女の可愛らしい好奇心として。
城ヶ崎美嘉もそれが気にならないと言えば嘘になるし、出来るならば根掘り葉掘り聞いてみたいくらいだった。
しかし、城ヶ崎美嘉が目撃した光景の中には、汗をかいていると主張する相手を抱きしめた上で、幸せと述べる場面もあった。
59Res/35.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。