過去ログ - 茜「文香ちゃんの素朴な疑問」
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26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:38:14.01 ID:YiqUyrv20
 ――ああ、自分の中にもあったのだと、鷺沢文香はふと思い至って、満たされた気持ちになる。
 自分の中に眠っていた、歓びの欠片。
 輝く碧を見つけた時の様な、爽やかな、幸せを感じる、あの匂い。
 知っていたことに気付けていなかったのだと、今やっと、気付くことができた。

以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:43:50.27 ID:YiqUyrv20
 そして、そこまで思考が巡った後に、彼女の意識はようやく理性の下へと戻ってくる。
 気が付けば、緊張の極致にある日野茜が、まるで解放の時を待つかの様に服の裾を握りしめていた。
 
「……」

以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:10:08.53 ID:YiqUyrv20

 突然の抱擁に、日野茜も驚きから思わず目を見開き、掴んでいた鷺沢文香の服の裾を手放す。

「!!? えっ、あ、あのっ、文香ちゃん……!?」

以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:27:56.68 ID:YiqUyrv20
 為されるがままとなった日野茜と、思うがまま幸せな気持ちを堪能する鷺沢文香。
 しばらくの間、その状態は続いた。

 そして、それが打ち切られたのは、やはり訪問者の力によるものだった。



30:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:30:40.12 ID:YiqUyrv20





以下略



31:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:34:19.97 ID:YiqUyrv20

「「「!?!!?」」」

 突然の第三者の声に、鷺沢文香は反射的に日野茜から離れ、日野茜もまた、不意に理性を取り戻す。
 そして二人は、ドアの向こうから聞こえてきた声――赤城みりあから挨拶を投げ掛けられたであろう、『美嘉ちゃん』を探す。
以下略



32:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:38:59.06 ID:YiqUyrv20
 謝る段になった時、赤城みりあは間違いなく、二人に何をしていたのかを尋ねるだろう。
 それは悪意などではなく、純粋に彼女の可愛らしい好奇心として。
 城ヶ崎美嘉もそれが気にならないと言えば嘘になるし、出来るならば根掘り葉掘り聞いてみたいくらいだった。
 
 しかし、城ヶ崎美嘉が目撃した光景の中には、汗をかいていると主張する相手を抱きしめた上で、幸せと述べる場面もあった。
以下略



33:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:47:49.76 ID:YiqUyrv20
「みっ――みみみみ、美嘉ちゃん!?!!?」

「み……見て、らしたのですか……?」

 城ヶ崎美嘉は、顔を真っ赤に染めた日野茜と鷺沢文香から、声を掛けられた。
以下略



34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:52:23.97 ID:YiqUyrv20
「えーっと……確か、茜ちゃんが文香さんに、恥ずかしいからゆっくり、って言ってたところから、かな」

 城ヶ崎美嘉は、出来事の順番の奥に追いやられかけていた記憶を手繰り寄せながら、嘘偽りなく述べる。
 彼女が部屋に入ろうとした時、僅かに隙間の空いていたドアの向こうから、日野茜のその発言が聞こえたのだった。
 何事かと思い隠れて覗き込んでから、赤城みりあに声を掛けられるまで、城ヶ崎美嘉はじっと、時に顔を赤らめながら、二人の様子を眺めていた。
以下略



35:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 23:01:47.75 ID:YiqUyrv20
「茜ちゃん、文香さん、おはようございまーす!」

 赤城みりあは持ち前の無邪気な笑顔を携えて、日野茜と鷺沢文香に挨拶を投げ掛ける。
 姿の見えていた城ヶ崎美嘉ばかりに気を取られていた二人は、緊張の度合いを更に高めた。
 彼女の声によって城ヶ崎美嘉に気付いたことすら、二人は忘れかけていた。
以下略



36:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 23:09:26.14 ID:YiqUyrv20
「えっとね、みりあちゃん。茜ちゃんと文香さんは自主レッスンしてたから、だから顔が赤くなってるんだよ」

 鷺沢文香と日野茜は、はっとして城ヶ崎美嘉を見る。
 苦笑しながらも城ヶ崎美嘉は、二人にウィンクを投げて意図を伝える。
 心強い味方を得たことに安堵した二人は、僅かばかり安堵して、息をつく。
以下略



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