過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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37: ◆eZMycVsOYY[sage saga]
2017/01/08(日) 12:51:43.40 ID:O1Z9DSgO0
「うちで預かるってこと?」
「うん。まだ芽衣ちゃんには言ってないけど。あの子、一時帰宅できるって聞いたときにどうしようって言ってたから。お父さんには伝えてあるし、薫が良ければなんだけど・・・」
「大丈夫だよ。でも男二人のなかに女の子って・・・」
 母は「そうよねぇ」とつぶやき、うーんとうなっていた。
 するとドアが開いて、彼女が帰ってきた


38: ◆eZMycVsOYY[sage saga]
2017/01/08(日) 13:09:22.17 ID:O1Z9DSgO0
「ただいま、です」
「おかえりなさい」
 彼女はとてとてとこちらに駆け寄ってきた。僕はあの話を持ち出した。
 芽衣」彼女に向き合って読んだ。
「はい」と空気を察したのか、神妙そうな面持ちをして、ビシッと姿勢をただした。
以下略



39: ◆eZMycVsOYY[sage saga]
2017/01/08(日) 13:12:43.48 ID:O1Z9DSgO0
やっぱり嫌だよね、ごめん」と言おうと口を開きかけると
「いいんですか・・・?行きたい、行きたいです!」こちらに身を乗り出しながら言った。僕はほっと息をついて母と目を合わせた。
「私は帰れないから、男二人の中だけど頑張ってね」
 「はいっ」
 そうして二週間後、二泊三日で彼女は僕の家に来る事になった。
以下略



40: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 13:16:41.47 ID:O1Z9DSgO0
彼女が我が家にやってくる前日には、僕も父も大慌てで準備した。僕は大学の宿題があったし、父も仕事で忙しかった。だからすっかり忘れていたのだ。そうしてリビングを片っ端から片付けて、便器の掃除をして、食べ物はどんなものが良いかなどをネットで検索しながら買い出しに行き、なんとか、彼女を迎えられる状態になった。
 彼女を迎えに行くために病院へ向かった。ドアを開けると可愛らしい服を着た彼女と母がいた
 彼女は少し恥ずかしそうな様子だったが、僕と目が合うと、「よろしくお願いします」と言った。
「せっかくだから、街にでも言ってきたら?お小遣いあげるし、女の子なんだからウィンドウショッピングでも楽しいと思うよ」
 僕は彼女の方を見て、「芽衣が行きたいなら」と伝えた。
以下略



41: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 13:24:40.63 ID:O1Z9DSgO0
 それから僕と芽衣は二人で街へ出かけた。街といっても大都会というわけでもないし、平日だったのもあり、人はそう多くなかった。歩きながら、
「服、可愛いね。いつも病院服だったからびっくりした」と言った。彼女は少し顔を赤くさせて、
「あ、ありがとうございます。えっとおばあちゃんが買ってくれて・・・」と教えてくれた。
 女の子と二人で出かけた事のない僕は、どこへ行けばいいのかわからず、
「行きたい場所とか、ある?」と聞いた。すると、
以下略



42:名無しNIPPER[sage]
2017/01/08(日) 13:48:45.00 ID:FSmutK/80
ウルウル


43: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 14:25:45.05 ID:O1Z9DSgO0
 いつも病院にいるとはいえ、やはり女の子なんだろう。店を通る度に「ここ見ても良いですか」と聞いてきた。僕は実家暮らしだし、バイトもそれなりにしてるからお金はあった。そう多くはないけれども、「何か買ってあげるよ」と彼女に言うと、真っ青な顔で首を横に振ったので、以後言わないようにした。
 ふらっと寄った雑貨屋で、彼女がクマのキーホルダーを見つめていた。どうやら色の種類が多いらしい。彼女を見ていると、
「薫さん、あの、色違いで一緒に買いませんか」とおずおずと僕に言った。彼女は今まで見たお店の中で何かを買う事はなかったから、よほどそれが気に入ったのだろう。
「僕とお揃いでいいの?」
「薫さんとがいいんです」と力説された。それじゃあ、といって僕は男が持っていても目立たなさそうな青いクマを、彼女は可愛らしい桜色のクマを持ってレジへ並んだ
以下略



44: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 14:38:34.64 ID:O1Z9DSgO0
並んでいる際に、僕が財布を取り出すと「私がお揃いにしようって言ったので私が二つとも払いますよ・・・?」と言われた。さすがに年下の彼女に自分の分も払わせるなんてできない。
「大丈夫だよ。僕バイトもしてるし、こういうのは普通女の子には払わせないから」と言って彼女の分のクマも取り上げた。あっ、と声を出したが、納得したのか「・・・ありがとうございます」と照れたように言った。
 会計が終わった後、彼女は袋からキーホルダーを取り出し、
「お、おそろっちってやつですかね・・・。雑誌で見ました。えへへ・・・」と笑った。こんなにもこの子は可愛いのか。彼女が普通の女子高生だったら確実に何人もの男は落ちているだろう。かくいう僕もときめきかけた。危ない危ない。



45: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 14:50:19.00 ID:O1Z9DSgO0
その後、カフェへ行ったり本屋を見たりして、あっというまに夕方になった。「そろそろ変えろっか」と言い、彼女と自宅へ向かった。
「昨日一応片付けたんだけどさ、男二人だから・・・その、臭かったらごめん」と家に入る前にあらかじめことわっておいた。
 ドアを開けて手招きすると、彼女は「お邪魔しまーす・・・」と言って、そろりと入ってきた。その様子が面白くて、「泥棒じゃないんだから」と笑うと、「ひ、の家にお邪魔するのなんて久しぶりすぎて、緊張してるんです!」と少し怒られた。



46: ◆eZMycVsOYY[saga]
2017/01/08(日) 15:14:01.88 ID:O1Z9DSgO0
 家に入ったあと、そわそわとしている彼女にお茶を出した。
「リビングじゃ暇だから、僕の部屋に来る?小説とか、漫画もあるし」と誘った。彼女とか同じ大学の女の子ならともかく、自分より年下の女の子を部屋に連れ込む事に変な気持ちは全くなかった。彼女も少しほっとしたのか、「はい」と安心した顔で返事をした。
 部屋に着くと、彼女は目を輝かせた。僕の部屋の本の数が、彼女のお気に召したのだろう。うずうずとこちらを見つめていたので、「好きな本読んでていいよ。僕も宿題とかやってるし」と彼女に伝え、自由に過ごさせた。最初こそ遠慮がちにしていたが、本好きの血が騒いだのか一度読み始めると止まらなかった。僕は人の多い図書館とか、塾の自習室で勉強できるたちではなかったので、静かに紙をめくる音だけが聞こえる空間は居心地が良かった。



47: ◆eZMycVsOYY[saga sage]
2017/01/08(日) 15:15:08.49 ID:O1Z9DSgO0
誰か見てくれてますか?


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