過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 21:16:17.46 ID:O1Z9DSgO0
「じゃあここあたりを散歩したらどうだ?街みたいに賑やかじゃあないが、少し歩けば小さいショッピングモールもあるし、神社もあるし。ここにずっと籠るよりはいいだろう」
父の提案に、「どうする?」と彼女に聞き、「薫さんのお時間があれば、是非」との答えを得た。
よし、そうしよう。ここは自然も多いし、買い物はしなくてもちょっとした気分転換にはなるだろう。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 21:35:04.25 ID:O1Z9DSgO0
食器を洗いながら、「ご飯作るの上手なんですね」と言われた。
「母さんが入院することが多いから、中学生くらいの時からやってたんだ。凝ったものは作れないけど」
「凝った物じゃなくても、病院食ばかりの私には何よりも美味しく感じました。あ、病院食も美味しいんですけどね」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 21:45:25.96 ID:O1Z9DSgO0
「そう言われると嬉しいよ。そうだ、今日はバスじゃなくて散歩代わりに徒歩で行こうか。疲れたらタクシーでも帰れるし」と少し強引に話題を変えた。
「はい。昨日から、ありがとうございます」
「気にしないで。せっかく一時帰宅が許可されたんだし、遠慮せずに楽しんで」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:28:45.35 ID:O1Z9DSgO0
食器を洗い終わり、もともと身支度が整っていた僕らは、そう時間がたたないうちに外へ出た。
今日は暑すぎず程よく風が吹いていたので、散歩日和だった。体を冷やすとよくないので、彼女に「寒くない?大丈夫?」と何度も聞いてしまった。「心配しすぎですよ」と彼女は笑った。
少し小さなショッピングモールまではほぼ一方通行でいけるが、その道のところどころで本屋やコンビニ、そこそこ大きい神社がある。
彼女は道の途中で見かけた神社に興味を持ったのか「行ってみたいです」と僕に言った。今まで彼女は何をするにしても遠慮がちで、昨日なんかは街で店を見るたびに「見てもいいですか」と確認をとるほどだった。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:30:43.74 ID:O1Z9DSgO0
神だとか仏だとかを日常的に祀る習慣がないため、そういったものを意識することはあまりなかった。学生の頃はよくテスト返却の度に「神よ・・・」と祈っていたが。そんな都合良く神は働かなかった。
しかし神社のなかに入ってみるとなかなかにして神聖な空気が漂っていた。9月という人々にとってはあまり祈願することがない季節だからか、人はほぼいないに等しかった。
賽銭箱にお金を入れ、「彼女の病気が奇跡的に治りますように。母さんが元気でいてくれますように。父さんが怪我や病気をしませんように」と強欲なまでに願い事をした。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:48:32.10 ID:O1Z9DSgO0
お祈りをしたあと、僕らは神社で売っていたお守りを買った。お守りなんて買うのは大学受験以来だが、健康を祈るお守りは持っていて損はしないだろう。
彼女はお守りを買うときに、「ちょ、ちょっとあっちを向いててください」と僕に言った。何を買ったのかは知らないけど、どうか彼女に神の加護があるといいなと思った。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:49:22.31 ID:O1Z9DSgO0
神社をあとにしながら、てくてくと彼女と歩いた。
「神社なんて久しぶりに来たよ」
「私もです。空気が、とても美味しかったですね」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:55:30.26 ID:O1Z9DSgO0
「今日も、面白いことが日記に書けそうです。」
彼女は日記を書いているのか。今まで一言も言わなかったから知らなかった。
「日記書いてるんだ」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 01:20:33.47 ID:yOhGu/Zb0
普段どうってことなく見過ごす風景も、彼女がいれば楽しくなるもので。小さな雑貨屋や隠れ家的な雰囲気のあるカフェ、はたまたくたびれたバッティングセンターなど、彼女はたくさんのものを発見した。
普段病室にいる分、何もかもが新鮮に見えるのだろう。知らないからこそ、人より多くのことを発見できるのはいいことだと思った。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 01:23:54.67 ID:yOhGu/Zb0
さっきまでの彼女は、服屋へ寄っても売られている服を自分に合わせて僕にみせるだけで、試着しようとはしなかった。けれども今は店員さんと話しながら試着室へ向かっている。
男一人が女性向けの服屋で待機するのは少し気恥ずかしさがあったが、スマホを適当にいじって時間をつぶすことにした。
それから少しして彼女が試着室から出てきた。彼女は秋らしい色のワンピースに身を包んで、
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