過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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981: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/03/11(日) 19:25:41.96 ID:YQSvpWbd0
 声を掛けられるまで、時間が止まっていたのかもしれない。声を掛けなかったらサクラ王女の時間は止まったままだったのかもしれない。そう思えてくるほどに、サクラ王女の言葉はか細いものだった。
 一体何が原因なのかと視線を動かす。まずは正面、カザハナとツバキもサクラ王女の様子を心配している。二人がこの変化の原因とは考えられないから、視線を奥に進めた。
 しかし、進めても同じような貴族の姿以外に何もなかった。何も特徴的な物はない、誰かがサクラ王女の命を狙っているのかとも考えたけど、このセレモニーはあのマクベスが全体の指揮を執って行っていて、それはお父様からの指示を受けての物だ。生ぬるい警備などしていないだろう。
 だから原因は何もわからなかった。わからないけどサクラ王女に起きた異変は確かなもので、今できることは気遣う事くらいで、あまりにも弱々しい言葉しか出てこない。

「大丈夫?」
「はい、大丈夫です。ごめんなさい、少しだけ眩暈がして」
「も、もしかして風邪とか? 今から屋敷に戻る?」
「大丈夫です、カザハナさん。もう収まりましたし、それにカムイ姉様の式典には最後までいたいです」
「……そ、そう」

 カザハナも気づいているし、ツバキはわかっているから何も言わない。
 サクラ王女の苦し紛れの嘘、眩暈で誤魔化した本当の理由。その理由の力になりたいと二人は思っているはずなのに、聞き出そうとはしなかった。
 それで区切りをつけた様にカザハナは調子を戻してサクラ王女と接し、ツバキも同じように接していく。物事を修正するように動く世界の中で、私だけが取り残された気がした。
 同時にさっきの原因が他の誰でもない……
 私にあるのかもしれないという予感を、なぜか感じるのだった。


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