過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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985: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/03/11(日) 19:46:48.99 ID:YQSvpWbd0
「私、白夜にいる頃からずっと守られてばかりだったんです。常に危ないことから守られる立場で、危険なことを進んでやるなんてこともありませんでした。お城にいるときも侍女の方がいて、軍議への参加も強制されていませんでしたし、何か怖いことがあるとお母様が優しくしてくれて、私はずっとそうやって過ごして来ました」

 それはなんと恵まれた世界だろうか、幼少期の私にはそんなものは無かった。常に親族の争いに怯えて、出来る限りお母様同士の争いに巻き込まれない様にと願う日々。私が泣いてもお母様がそれを殺めてくれたことはほとんどない。機嫌がいい時は違う母親の子が死んでしまった時くらいだった気がする。

「あの日、カムイ姉様を追いかけた時、私は何かが変われていた気がしたんです。守られるだけじゃない私になる事が出来た気がして……。でも、それは違いました。さっきの会場で、わかってしまったんです。私は守られることをどこかで当然のことのように思っていて、それが普通の事だと思っていたんです。月を見て何も変わってないって思ったのは、何も変わっていないことを誤魔化したかっただけで、結局私は成長も何もしてなかった…。私の身勝手が多くの出来事を引き起こしたかもしれないのに……」

 サクラ王女の声にあるのは失望と虚しさだった。
 まだ守ってもらえているということにホッとしている自分が許せない、あんなことをしておいて未だにそう思っている自分自身に失望していた。
 危険を承知でカムイを追いかけた結果、カザハナとツバキを巻き込んでしまった。そして、もしかしたら白夜の侵攻なども自身が原因なのではと考えてしまっているのかもしれない。
 それは彼女の他人を思いやる優しさ故のこと。誰かを思うことがどれほど大変な事なのか、それをサクラ王女は知らずにこなしている。だけど、そんな優しい彼女だからこそ、ここまでずっと守られ続けてきたことを理解してしまったのかもしれない。


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