過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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987: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/03/11(日) 19:54:20.83 ID:YQSvpWbd0
「カミラさんはどうして、そう言ってくれるんですか?」
「ふふ、サクラ王女を見ていると、昔の私のことを思い出すの。あなたみたいな悩みではなかったけれど、そこに共通していた悩みの形は同じだったはずだから」

 私はずっと恐怖にさらされてきた。ずっと、ずっと。だけどそれはカムイと出会って変わったことだ。
 私は、私よりも悲惨な彼女を助けたいと思った。今まで自分が逃げていても手に入れられなかったものを、この子に与えたいと思ったのだ。
 だけど、このままじゃ彼女を助けられないと理解したときから、私は変わろうと考えた。
 それが私の起点だった。変わりたい自分を見つけて、そしてそれを克服しようと動き出すこと、それは今のサクラ王女と同じように思えた。

「……カミラさんを変えたのは何だったんですか?」
「カムイよ。私はあの子と出会って変わったの。昔の私はね、怖がりの臆病者で、とてもじゃないけど誰かのために何かをするなんて発想を持っている子じゃなかったわ」

 私の言葉にサクラ王女が驚きの声をあげる。それはなんだか今の自分の姿が間違いじゃなかったと思わせてくれるものだった。

「ねぇ、サクラ王女。人は勇敢にもなれるし臆病にもなれる。でも、それは勝手になっていくものじゃなくて選ぶことによって得られるものなの。今の自分から変わりたいと願うなら、選ぶことを恐れてはいけないわ」
「だけど、私は選べてなんていません……」
「今まさに選べているじゃない」

 土を強く握っているサクラ王女の手に手を重ねると、その綺麗で小さな手を優しく介抱する。爪に入った土を優しく出すよう、その悔しさは重要だけどもう必要ないものだというように。だって、その悔しさに値するものをサクラ王女は選んでいるのだから。

「こうして私に話してくれたことがその証拠よ。自分の弱いところを敵である私に教えてくれたこと、そして私の話を全部聞いてくれたこと。貴女は選んでいるわ、ちゃんとあなたが望むあなたの姿のためにね?」
「カミラさん……ううっ、ひぐっ……」



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