過去ログ - 市原仁奈「はじめてのおしょくじ」
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13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:18:20.17 ID:1vmwn4+80
「おいしそう……」

しかし、食い入るようにハンバーグを見る少女は一向にハンバーグを食べようとしない。

「箸ならそこにあるぞ。それともフォークとナイフの方がいいか?」
以下略



14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:20:20.12 ID:1vmwn4+80
どうやらこの健気な少女は、俺の分の料理がくるのを待っててくれるつもりらしい。

とはいえ、仮にも今は営業中で客の前だ。

今俺が食べ始めるのは躊躇われるし、さっき親父に頼んだ夕食もこの子が帰ったあとのつもりだった。
以下略



15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:21:09.77 ID:1vmwn4+80
食べ始めてからのうさぎ少女は速かった。

もぐもぐと、見ていて面白くなるくらいの食べっぷりでハンバーグを口に運んでいく。

ずいぶんとお腹が空いていたらしい。
以下略



16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:23:06.08 ID:1vmwn4+80
今日の夕食が美味しかった理由について、やはり客に出す料理と普段俺に出す料理は違う肉使ってんのかな?などと思考を巡らせること数分。

いつの間にか少女の手が止まっていた。

嫌いな物でもあったのか?と思ったがそうではなく、少女は目を閉じてゆらゆらと頭を揺らしている。
以下略



17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:24:44.54 ID:1vmwn4+80
それはさっき少女が取り出していたうさぎの財布だった。

どうやら財布をしまった際に、財布を開けた状態でしまっていたらしく、今落とした拍子に中身が少しこぼれてしまった。

さて、うさぎ財布にはいったい何が入っているのだろうか。
以下略



18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:27:03.12 ID:1vmwn4+80
「俺の財布より入ってる!」とか「全然初めてのおつかいじゃない!」とか細かい点も気になるけど、それ以上に。

レシートがすべてコンビニのもので、しかもコンビニ弁当に関するものが多いことが、俺と親父の気をひいた。

定食屋を営む親父はどう思うか知らないが、コンビニ弁当も今は栄養についてけっこう考えられていて、一概に否定するものではないらしい。下手に料理下手な人が作るよりも安心、なんて話も聞く。
以下略



19: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:28:07.21 ID:1vmwn4+80
『いっしょが、いいです……』

さっきの言葉は、一人で食事をするのが不安だったからだと俺は思った。

でも、違ったんだ。
以下略



20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:29:34.95 ID:1vmwn4+80
店の前で佇むうさぎの背中を思い出す。

小学生の女の子が、夜に初めて一人で定食屋に入るには、はたしてどれだけの勇気が求められるのだろう。

耐えきれない寂しさと未知への恐怖に板挟みになったうさぎ少女は、はたしてどれだけの時間を店の前で過ごしたのだろう。
以下略



21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:57:41.72 ID:1vmwn4+80
「おい」

親父は一枚の紙を手渡してきた。

それはここ周辺の地図。
以下略



22:名無しNIPPER[sage]
2017/01/10(火) 23:58:35.74 ID:rKgrwYTt0
今日は終わりかな?乙。楽しみ。


23: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/10(火) 23:59:36.16 ID:1vmwn4+80
うさぎ少女を背負いながら、地図の家を目指して歩き続ける。

「ふわあ……ここは……?」

「起きたか。今、お嬢ちゃんの家に向かってるところだ」
以下略



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