331:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:22:30.52 ID:sKfYX8RPo
とその時、ヒビキは弾かれたように顔を後ろへ向ける。
その先に広がるのは闇ばかりであるが、
ヒビキは希照石を掴み、駆け出した。
アニマルロボたちの吠える声……。
ヒビキの耳に届いた切迫した家族たちの鳴き声が、ヒビキを神殿の出口へと走らせた。
希照石の声はもう聞こえない。
ヒビキは幾度となく体を壁にこすらせながらも暗闇を駆け、
やがて出口の光が見えてきた。
その先から感じる異様な気配に、ヒビキは全身の産毛が逆立つのを感じる。
直後に扉を抜けたヒビキの眼前に広がった光景は、
森の入口を塞ぐようにして立つ巨大ロボ、それに対峙して吠え続けるアニマルロボの姿であった。
だがヒビキの目線はすぐに巨大ロボを通り過ぎ、遥か遠くの空へと向いた。
夜の闇の一部が、うっすらと赤く染まっている。
燃えているのだ。
自分の故郷が、森が、天を焦がすほどに炎に焼かれているのだ。
その凄惨な光景に、ヒビキは全身が震えるのを感じた。
怒りとも恐怖ともつかない感情が膨らんでいく。
だがそんなヒビキに届いたのは、ただただ冷たい、無感情な声であった。
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