過去ログ - 女「また混浴に来たんですか!!」
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110:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 11:18:46.16 ID:FjDEx+7n0
一緒に過ごす時間が経つにつれ、段々と自分に接する時の態度が厳しくなってきた。
それは社会で生きていく上では、裏の人間も、表の人間も同じらしい。
温泉でさえ長く浸かっていると身体を熱して追い出そうとしてくるのだから。
111:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 14:20:09.20 ID:FjDEx+7n0
女「私には全然ガードが硬いですけどね」
男「何のことだ」
女「人は何故温泉に行くのでしょうね。憑き物でも落とすのでしょうか」
112:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 14:30:35.70 ID:FjDEx+7n0
男「おはよう」
女「おはようございます」
男「今日は厚いな」
113:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 14:41:15.41 ID:FjDEx+7n0
女「無いものねだりの人間であるはずの私たちは、夏に温泉に来ていますね」
男「冬にプールに来ているようなものかもな。こういううだるような暑さの日には温泉好きは困ってしまうな」
女「本物の温泉好きなら天候に左右されませんよ。無いものねだりの人が欲しがる理由は、それを持っていないからです。本当に好きだという人は、それを持っていても欲しがり続けます」
114:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 14:50:45.14 ID:FjDEx+7n0
女「冬の温泉までまだ半年後ありますね」
男「その頃には街中の銭湯の修理も終わっているだろう」
女「それはもうすぐ……」
115:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 15:10:53.17 ID:FjDEx+7n0
女「さぁのぼせないうちに前の話の続きを。あなたがのぼせて気絶して、私もねこまないうちに」
男「三途の川をわたらんうちにか」
女「真夏に入る三途の川は気持ちいのかもしれないですね」
116:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 15:23:33.67 ID:FjDEx+7n0
親父「天国のようだった」
親父さんは、うっとりとした表情を浮かべていた。
親父「何もかもを失っていた時だった。俺は疲れ果てていた。馴染みもない冬国に命からがらたどり着き、手を差し伸べてくれる人もいるわけもなく」
117:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 15:33:49.95 ID:FjDEx+7n0
親父「小さな民宿に泊まった。広さは四畳で、畳は全てかびていた。俺以外に宿泊者は誰もいなかった」
親父「俺はそこで数日間過ごした。好きな時間に起きて、酒を買って飲んで、寝て。ひたすらそれの繰り返しだった」
親父「所持金にも余裕がなくなってきた。俺は支払いもせずに黙って民宿を出た。どこまでも世界に嫌われてやろうと思った」
118:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 15:43:31.00 ID:FjDEx+7n0
親父「そしてたどり着いた」
親父「こんなところに温泉があるのかと、目を疑ったよ。幻覚でも見てるんじゃないかって」
親父「もしも浸かって冷水だったら、俺はそのまま死んでしまおうと思った。そこで力尽きてしまうしかないと思った」
119:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 16:02:28.08 ID:FjDEx+7n0
「そんなにおかしい景色ですか」
親父「俺は笑うのをやめて、凍りついた表情のまま振り返った」
親父「陽の光を浴びた女が、一糸まとわず立っていた」
120:名無しNIPPER[saga]
2017/02/18(土) 16:18:23.97 ID:FjDEx+7n0
親父「次の日、俺は痛い目に遭った」
親父「再びあの温泉に、同じ時間帯に来ていた。俺が訪れていたのは、早朝5時過ぎだった」
親父「俺は湯に浸かり続けた。誰か人の気配がするのを待った。まだバスが来るような時間帯じゃない。女が地元民ならば、観光客のこないこの時間帯に来ているんじゃないかと思った」
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