過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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◆zsQdVcObeg
[saga]
2017/02/04(土) 22:52:25.28 ID:VUzEAQad0
そのときは、その声は警官のモノかなぁ、と思っていたけど、その間違いに気づくのは随分とあとになる。
ふらつきながらも走って、未来人が校門を開けているのがやっと見えてきた。
「体育倉庫の中、おびき寄せて」
酸素がなくなったように息を荒げる私たちとは正反対に、落ち着き払った未来人の横を、3人は走り抜けた。
「あと少し!」
全開になっているシャッターをくぐり、私たちは体育倉庫に駆け込んだ。
突っ込むようにして、私は高跳び用のマットの上に投げ出される。
中村はバスケットボールの山にそのまま転がり込んだ。
「こ、こっち!」
山田が声を荒げた方を見てみると、昼間は散乱していた跳び箱が、小窓に通じるように階段になっていた。
木でできた格子も、雑に壊されていた。
小学生1人くらいなら通れそうだ。
「登れ!」
中村がバスケットボールを地面にばらまきながら、山田を急かした。
山田は這うように跳び箱を登り、小窓からなんとか転がり落ちる。
外からぼふっ、という布の音が聞こえて、高跳び用のクッションが置いてあることが匂えて取れた。
「手伝う!」
跳び箱に必死でしがみついていると、中村が勢いよく押し上げてくれた。
私は階段を滑るように跳び箱を登り上がって、小窓から手を突き出した。
山田がそれを掴んで、そのまま引っ張り出してくれる。
私はギブスを格子の破片に引っ掛けながらも、なんとかクッションの上に落ちた。
「早く!」
シャッターに何かがぶつかる音がした。
涙で顔をぐちゃぐちゃにした中村が手を伸ばしたのを、私と山田で思いっきり引っ張る。
倉庫の中で何かが転ぶ音がして、それと同時に私と山田の上に中村が転がり込んできた。
突然、群青色の香りがする。
と思った次の瞬間、勢いよくシャッターが閉まる音がした。
「3人とも、少し離れてて」
体育倉庫の表側から、未来人の少し張った声が聞こえる。
3人はよろけながらもクッションから降りて、ほとんど這うようにして表側に回り込んだ。
未来人が倉庫の角の部分に抱きついて、目を閉じている。
私はそれを見たのを最後に、意識を失っていた。
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