過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
1- 20
48: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:58:12.09 ID:VUzEAQad0

 そのあと、3人が帰ってからも私は少し教室に残っていたけど、未来人はいつものように教卓の上にはいなかったし、群青色もどこにも見えなかったので、私は母の迎えを待って、そのまま帰った。

 車の窓を開けて、外の空気をにおう。
 あの骨が捨ててあった排水路の近くを通ったところで、小さく息を吸ってみたけど、もう何もなかった。

 雑草とアスファルトの匂い。

 夜、風呂に入って、匂いをリセットする。

 水、というかお湯の匂いは、今でも不思議に思うのだけど、なぜかどんな色も浮かんでこない。
 水が透明なように、匂いも透明。

 だからなのかどうかは知らないけど、あとから私はかなりの温泉好きになる。
 小学生の頃は温泉なんてあまり興味なかったけど。

 風呂の湯気を思いっきり吸って、頭の中をリセットする。

 そこでふと、今日は未来人に出会っていないことに気がついた。
 あの群青を思い出そうとする。

 透き通った、シャンプーともなんとも言えない香り。
 蒼く見えるほど深く黒い髪。

 言葉にすれば思い出せる気がするけど、まぶたの裏にあの黒っぽい青は浮かんでこなかった。

 少し不安を感じて、私は両眼をつぶって、頭からお湯に沈み込んだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
55Res/58.49 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice