40: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:37:23.09 ID:BcSldTJc0
それから2時間くらい後。
私たちは風呂の時間という名のカラスの行水を終えて、寝る準備を整えていた。
41: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:38:58.38 ID:BcSldTJc0
しばらく黙って歩く。耳に入るのは2人分の砂利を踏む音だけで、匂うのは薄紫だけ。
明かりが届かないところまで来ると、東田は突然、私に話しかけてきた。
「滝野さんは賢いよね」
42: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:39:30.81 ID:BcSldTJc0
「猫は好き?」
東田は立ち止まった。そして迷いなく、半身で振り返った。
43: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:41:57.06 ID:BcSldTJc0
undefined
44: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:42:31.68 ID:BcSldTJc0
逃げないと。
混線した頭がやっと導き出した答えを、私は震える膝に頼み込んで、やっとのことで振り返ると、後ろから低い声で、
45: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:43:04.42 ID:BcSldTJc0
「キャンプ用のナイフでも、人って切れるのかなぁ? とりあえず、猫の肉は切れたから、たぶんいけると思うんだけど」
子供が持つには刃渡が長すぎるナイフは、僅かに雲の隙間から漏れている月の光を、その身に独占するように、東田の左手の中で、過剰に輝いていた。
46: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:43:39.03 ID:BcSldTJc0
私は涙を流した。よく思い出せないけど、目は閉じていたと思う。
「……はぁあ?」
47: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:44:13.48 ID:BcSldTJc0
翌日と翌々日は、恐ろしいほどに、普通に過ぎていった。
未来人も東田も、何事もなかったかのように自然教室を楽しんでいて、私は、気でも狂ったのか、それともあれは夢だったのか、本気で自分の心配をした。
48: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:44:53.19 ID:BcSldTJc0
「なにしてるの」
「なにもしてない」
49: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:45:48.24 ID:BcSldTJc0
「私は未来から来た」
自称未来人の彼女は、私によくそう話していた。
50: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/12(日) 00:47:45.38 ID:BcSldTJc0
ひとまずおしまい。
読んでくださりありがとうございました。
またいつか続き書きます。
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