過去ログ - 穂乃果「行くよ!リザードン!」
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296:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:07:01.97 ID:ha7ZcpN9o



果南と鞠莉が入院している病室、その窓から見下すと緑が生い茂る中庭が広がっている。

以下略



297:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:08:17.35 ID:ha7ZcpN9o
むしり、むしりと音。
千歌は目を落とさずに手慣れた仕草で小ぶりなみかんを剥くと、一房ちぎってぽいと口に放り込む。
もぐ、と噛んだところで「……」と沈黙。
顔をしかめ、二房まとめて曜へと差し出す。

以下略



298:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:09:11.52 ID:ha7ZcpN9o
言葉を切る。

二人ともが顔を伏せていて、視線を合わせられずにいる。
自分の非力が、嘘をついていたことが、互いに気まずくて後ろめたくて、心苦しさに顔を見ることができない。

以下略



299:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:09:39.73 ID:ha7ZcpN9o
それは決定的な決別の言葉。
言葉としての意味以上に、表情が、声色が、断固とした別れの決意を曜に悟らせてしまう。
大好きで、愛していて、ずっと千歌だけを見てきたからこそ悟ってしまう。
二人の間柄は壊れてしまったのだと。

以下略



300:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:10:09.55 ID:ha7ZcpN9o
誰だろう…?

顔を上げてみれば、そこにはもう一人の親友、梨子。
その顔には笑みが…梨子が怒っている時の硬質な笑みが張り付いている。

以下略



301:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:11:00.47 ID:ha7ZcpN9o
何を?梨子ちゃんはいきなり何を言い出してるの?
フリーズした千歌におかまいなし、梨子は壁に手を突いたまま、さらに顔を近付けて熱っぽく語る。


梨子「でもね…私、欲張りなの。実は曜ちゃんの事も同じくらい大好き。天才肌のくせに打たれ弱くて、サッパリしてそうなのにうじうじした所があって。
以下略



302:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:11:27.04 ID:ha7ZcpN9o
梨子「幼い頃からずっと一緒にいる親友で、大好きな人なのよね?」

千歌「……大好きだよ。でも、だから一緒にいられない。私のせいで曜ちゃんを危ない目に遭わせちゃったから」

梨子「それは違うよ千歌ちゃん。はっきり自覚できていないなら教えてあげる。
以下略



303:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:11:56.59 ID:ha7ZcpN9o
ずっとずっと、後塵を拝してきた。
周りからの認識は“曜ちゃんの友達”。あるいは“オマケ”。
曜ちゃんは特別だと、とってもすごいんだと、追いついたり越えたりなんて発想をいつからから、自分の心の中にある海、その深く深く底へと沈めてしまっていた。

でも違う、本当は!
以下略



304:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:14:09.79 ID:ha7ZcpN9o
たっぷり五秒、唇を外す。
目を白黒と、茹で上がったように頬を染めている千歌を満足げに見つめ、梨子は内心に呟く。


梨子(曜ちゃん、モタモタしてるからいけないのよ?これは今からしてあげる手助けの分。先払いでもらっちゃった)
以下略



305:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:14:39.76 ID:ha7ZcpN9o
クロスチョップめいて四腕、交差する手刀!!
側頭部をバチーンと思いきり挟まれて千歌が倒れる。
技術は熟練、体に他の悪影響が出ないかは然るべき機関で検証済みだ。
梨子は倒れこむ千歌を抱きかかえ、「うう…」と呻く顔を覗き込む。
幼さの残る輪郭、鼻先にかかった三つ編みを指でどけてあげると同時、千歌はゆっくりと目を開いて一言。
以下略



306:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 05:16:28.00 ID:ha7ZcpN9o
千歌は激しく狼狽する。
記憶を飛ばされても感情だけは残る、そういうものらしい。
大切な親友とこのまま一生離れ離れになっちゃうなんて嫌だ!
でも作ってしまった溝は深くて、一刻も早く本心をぶつけなきゃ…!

以下略



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