594:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:48:24.51 ID:ha7ZcpN9o
ツバサ「………」
「やあ、元気かね」
ツバサ「こんばんは。素敵な夜ね?」
595:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:49:15.52 ID:ha7ZcpN9o
ツバサの体が衝撃に跳ねる。
その意思に関係なく筋肉が収縮し、陸に上げられた魚のように全身がのたうつ。
電撃が止まり…ツバサはガラス越し、所長へと目を向ける。
596:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:50:39.94 ID:ha7ZcpN9o
幾度目かの電撃にツバサが渇いた咳を漏らし、所長は一度スイッチを傍らへと置く。
喉を焦がしてはつまらない。何事も節度を守ることが肝要だ。
ツバサ「か…はっ……あら…もう終わり…?」
597:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:51:42.32 ID:ha7ZcpN9o
やがて部屋の片隅、小さな扉からツバサの夕食が提供される。
無論、その扉も脱出口にはなり得ない。ツバサの方からは開かないし、仮に開いた瞬間を狙って頭をねじ込めば首輪の電撃が最高威力で流れる。
インド象すら気絶する電撃だ。そう説明は聞かせてあり、それをするほどツバサは馬鹿ではない。
プレートに乗せられた夕食はまるで朝食のような量で、ごく粗末。
598:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:52:16.41 ID:ha7ZcpN9o
所長とベテラン、二人はその様子をニヤニヤと見つめている。
粘ついた視線には酷薄と好色。
さて、前述の通りに刑務官は常に三人。
ガラス越しの部屋にはもう一人、刑務官がいる。年若い青年だ。
599:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:52:42.43 ID:ha7ZcpN9o
そう告げ、ベテラン刑務官は新人へとそれを手渡した。
“新人教育”とは、要するに新しく入ってきた新人を虐待の共犯者にすることで内部告発を防ぐための儀式なのだ。
彼は唖然としたまま、スイッチを押せず…
600:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:53:10.16 ID:ha7ZcpN9o
無理をしているわけでも、強がっているわけでもない。
ごく自然に世界をそう捉えている。綺羅ツバサが這い上がって来た泥土の影がそこには見える。
しかし、新人は押さない。
601:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:53:40.59 ID:ha7ZcpN9o
「はあ…?」
ベテランはその手を止める。
口を挟む気か?図に乗るな。
602:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:54:08.28 ID:ha7ZcpN9o
ツバサがもう一度首を竦め、それでアンケートは終わり。
何が起こるわけでもない。とんだ茶番だ。
ただ、少しベテランの興が削がれた。
新人を殴りつけるのをやめ、男はタバコを吸うために部屋の片隅の灰皿へと向かう。
603:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 08:54:52.22 ID:ha7ZcpN9o
体色は白に紫、滑らかな体表。
研ぎ澄まされた殺意、迸る鋭気。
すらりとした全身には一切の無駄がなく、一見して太くはない手足も他の種とは比較にもならないほどに良質な筋繊維の束。
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