7:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:15:58.05 ID:4Rea9gbvo
「たまげたな」
プロデューサーが呆気にとられていると、そのカエルは顔を覆って泣きに泣いた。
「私、なにか悪いことしたかしら。どうしてこんなことが起こるのよ、ねえ、プロデューサー……」
8:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:16:58.55 ID:4Rea9gbvo
「俺、爬虫類は好きだぜ」
プロデューサーはペタリとカエルの肩に手を置いた。
「慰めになんか、ならないわよ……!」
9:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:18:06.06 ID:4Rea9gbvo
二人は床へ直に座って、カップ麺を啜った。
プロデューサーは不思議な気分だった。
奏は顔だけでなく、体までがカエルそのものだった。
頭髪どころか体毛もなく、わずかに湿った皮膚が筋肉の動きに伸び縮みしている。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:19:03.61 ID:4Rea9gbvo
「味、変わらないか」
「ン……いつもよりおいしいくらい」
「そうか」
11:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:19:58.96 ID:4Rea9gbvo
「どうしたらいいのよ。一生このままだったらどうしよう、アイドルなんて無理。
外へだって一生出られない。どうしよう、ねえ、プロデューサー」
「とにかく、食ってから泣けよ。悪かったよ、俺も」
12:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:20:35.31 ID:4Rea9gbvo
腹を満たして、なんとなく映画など観始めると、その状況に慣れてきたらしい。
プロデューサーと奏は肩を並べて、テレビ画面に見入っていた。
俳優の顔がアップになって、奏はポツリと呟いた。
「もう、私はダメね」
13:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:21:13.75 ID:4Rea9gbvo
「今日は泣いてばかりだな」
「いつも、独りで泣くからね」
彼女はパカっと口を開け、微笑した。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/03/27(月) 22:21:44.19 ID:7usV35SZO
なんやこれ
なんやかこれ!?
15:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:22:18.87 ID:4Rea9gbvo
奏の好きな映画を2本観終わってから、風呂に入った。
順番はプロデューサーが先で、石鹸などと一緒に置いてあるカミソリに、少しだけ影のような心配事が湧いた。
けれど、彼は奏を信じることにした。
「熱いお湯は、やめておいたほうがいいかもな」
16:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:23:00.18 ID:4Rea9gbvo
彼の心は奏との出会いにまで遡った。
出会ってすぐ、キスをせがまれた。
年頃の娘さんが……、馬鹿正直に言って聞かせて、奏はきょとんとしていた。
二度、三度と繰り返して、ぷーっと吹き出した彼女に、ようやく彼は気づいた。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/03/27(月) 22:23:41.06 ID:4Rea9gbvo
「プロデューサー、上がったよ」
奏の口は、あの日と違う。けれど、プロデューサーには同じのような気もした。
「寝よう」
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