過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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14:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:32:31.50 ID:ltgFqpYMo
「まゆは……プロデューサーさんのことが大好きです」

「それはさんざん聞いたよ。それも、演技じゃないのかと俺は考えている。その一人称や笑い方が演技なんじゃないかって、俺の考えすぎかな?」

 乾いた笑いがこぼれる。

 結局私が隠すためにつくろったものは、彼に全部お見通しだったというわけだ。

「ふふ。かなわないなぁ。プロデューサーさんには」

 私は無意識に、ありのままをさらけ出していた。

 それでもプロデューサーさんは驚いた様子はなく、ただただ、私の言葉を待っていた。

「えぇ。今までの『私』は、演技でした。貴方にスカウトされた時からずっと、私は貴方に嫌われるためだけの『佐久間まゆ』だったんです」

「どうして、そんなことを?」

 目元をすこしだけ毛布から出すと、肌寒さが体に張り付く。

 寒さのせいか、声が震えた。

 一番近くの灯りが再びちかちかと輝くと、それっきり明かりがつくことはなくなった。

月光と星明かりを背負うプロデューサーさんの顔を伺うこともできないほどに、周囲は暗い。

「――私が、アイドルの私が、夢を与えるのが仕事の私が、貴方に恋をしてしまったから」

 私は穏やかに目をつむってそう呟く。

 いつもの調子とは違うと感じたのか、プロデューサーさんは短く息をのんだ。



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