155: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/23(火) 02:06:11.47 ID:ay0DpeFQ0
少しおいて、対空砲の弾薬庫部分が爆破されたと報がくる。話の状況から、杭のようなものが発射機関に食い込み、手りゅう弾何個か投入されたようだ。言ったように、兵器は間近に接近されることは想定しない、その上、対空砲がある位置はサンシャイン上部。砲の内部に攻撃を仕掛けられた際の対策など、していない。
この状況で、対空砲に配置されていた兵士に死傷者が出ている。弾薬自体が暴発する恐れもあり、急ぎ人員をそちらに回す。
指揮官の男の内情は、黒く蠢く。ただのプロジェクトの試作品を回収するはずが、増援部隊を呼ぶ羽目になり、あまつさえそれも含めて全滅の危機に瀕している。どこで、歯車が狂った? そもそも今襲撃を仕掛けているのは何だ? まだ報告では超能力者を含めた集団と別働部隊は交戦中というのが事実なら、攻撃を1人で仕掛けてきた人間。人間か? 自分の目が捉えていた人型は、本当に、人間なのか?
156: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/23(火) 02:07:00.09 ID:ay0DpeFQ0
「全部隊! 出入り口を塞げ! 絶対に侵入させるな!」
だが、指揮官の男もこれまでに修羅場を潜り抜けてきた人間であることに変わりはない。絶望に蓋をし、この戦いに生き延びる渇望を糧に、部下に指示を飛ばす。不意を突かれ、対空砲を潰された事実は変わらない。だが、それでも変わらないのは相手がこの中に侵入してこれないという現実だ。
対空砲が潰されたところで、実際のところ痛手ではない。手数を稼げる機銃が潰される前にサンシャインを超能力者にぶつけ、細切れにしてやればいい。それが終われば、今襲撃をかけている人間の始末をつける。そう、フロントガラスの前にい――。
157: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2017/05/23(火) 02:14:14.17 ID:ay0DpeFQ0
>>150
いやぁ、ほんとにね
>>151
どこぞの動画で生身プレイしてるのは見たけどねぇ。実際にやることじゃあないわな。やっちゃったけど
158: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/24(水) 01:23:52.70 ID:RKkx74QW0
サンシャインの内部の抵抗は激しい。その上、エクスの情報どおり通路は狭く、人がすれ違うのもやっとというところだ。こうなると、いくら放浪者でも、その空間で起きる弾幕の中を潜り抜けて攻撃を仕掛けるのは難しい。彼の殺意なき攻撃や動作は、動きを認識しづらくするだけであり、銃弾が彼そのものをすり抜けるわけではない。
放浪者も、運転席で処理した兵士達から奪った銃で応戦しているが、場は拮抗している。卓越した身のこなし、剣技を持つ彼だが銃の取り扱いについて今一つ。兵士側は扱いに慣れているとはいえ、この狭い通路では有効な攻撃を加えるのは難しい。自然とその場に縛り付けられるのは自然な流れだった。
4つ目に装填した弾倉が空になり、無造作に投げ捨ててリロードしなおす。慣れない長銃の使用は、それなりの負担をもたらしていた。それに、自分に向けられる銃弾の雨は、神経の方もすり減らしていく。それに、この撃ち合いは技能的な部分だけではなく、物資面からも放浪者には不利だ。処理した兵士分の数しか弾薬はないのだから、このまま続ければ先に弾切れになるのは放浪者だ。
159: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/24(水) 01:27:45.65 ID:RKkx74QW0
『OK、まだ引きつけてくれ』
向こう側から激しいタイピング音が聞こえてくる。まだ制圧しきってはいないが、レーザー砲のシステムにハッキングを仕掛けている。対処される可能性は高く、暴走させた際、下手をすれば放浪者も巻き込まれる恐れがある。
エクスも当然止めた、賭けにしてはあまりにも危険すぎる。生身で移動砲台の武装の一部を破壊して、指揮官らしき人間を処理できたならそれだけで十分すぎる戦果。そう説いた。だが、それ以上を考える放浪者の答えは当然ながら拒否だった。
160: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/24(水) 01:29:08.48 ID:RKkx74QW0
大きくキーを叩く音の後、銃弾が一瞬だけ止んだ。それを待っていた放浪者は通路へ飛び出し、奥にいる兵士へ向かいブースターを使い弾け飛ぶ。
人がそれこそ高速で飛んでくる、システム暴走の報を受け士気が乱れている彼らに、その乱れが拍車をかける。このサンシャインと同じく、許してはいけない接近をされ、斬り払われていく。
点と線、範囲だけ考えても近距離でどちらの攻撃が危険かはいうまでもない。それに加えて、銃には狙うという初動作が必要。同じようにナイフに切り替えるとして、抜き身の剣と収納しているナイフ。リーチの差もあれば、取り出すまでのわずかな時間も、この場合致命的な時間だった。
161: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/24(水) 01:30:10.83 ID:RKkx74QW0
サンシャインを載せた昇降機はすでに上がりきり、その姿を工場地帯の一角に晒していた。その姿は、放浪者が感じたとおりに威圧的ではあった。しかし、対空砲から煙が出、フロンドガラスが叩き割られた状態を見ると、城壁のような圧倒は薄まっている。
その状態で、奇妙な、振動と言えばいいのか。何かがサンシャインから発せられていた。それは徐々に増幅していき、それを感じる範囲を広げていく。
ついには、サンシャイン自身が振動していることに気付く。内部で何かが起きていることは間違いない。入り込んだ侵入者が何を仕掛けたかを考えれば、起きている事態は想像に難くない。
162:名無しNIPPER[sage]
2017/05/24(水) 08:27:18.13 ID:lpNjnXxc0
乙!
163: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/24(水) 19:37:52.46 ID:RKkx74QW0
サンシャインの崩壊の姿を見ている者達がいた。DJフレンド達に攻撃を仕掛ける別働部隊、その地上で待機している兵士達だった。それが何であったのか最初はわからなかった、しかし、それが自分の目的のものであったことに気づき、それは同時に破壊された事実を突きつけられることでもあった。
戦慄が奔った。それもそうだろう、サンシャインを破壊に至れる戦闘車両の姿はどこにもないのだ。それどころか重火器を使ったような爆音があったかも怪しい。そういったものを使わずにあれを破壊する、事前に受けたブリーフィングで受けた能力を考えて、想像できない。代わりに想定は出来た。
「全部隊、撤退開始! サンシャインは破壊された! 繰り返す、サンシャインは破壊された! 地下にいるのとは別の敵と想定され、先発隊も壊滅と判断して相違ない! 繰り返す、撤退を開始しろ!」
164:名無しNIPPER[sage]
2017/05/24(水) 20:53:00.49 ID:ux50XEX60
乙!
これはWWPからすれば、サンシャイン回収部隊の内部分裂と捉えた方が自然に思えそうだな……(汗
1002Res/657.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。