過去ログ - 桜の木の下には幸子が埋まっている
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26: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:33:24.32 ID:k5nKXPgw0
「土いじり、じゃないよ……。慣れてるのは、今みたいに死体が埋まってるって噂を聞くたび、掘りに行ってたから……」
小梅が微笑みながら言うのを、幸子は少し引き気味に受けた。
「か、変わった趣味ですね。いえ、おかげでここにも小梅さんが来てくれて助かってるんですが」
27: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:33:59.42 ID:k5nKXPgw0
やがて桜の木の根元に、大人が一人すっぽり埋まるほどの大きさの穴が作られた。
幸子を埋めた犯人がどれだけの深さの穴を掘ったのかわからないため、深めに掘ってみたのだが。
「……ない、ね」
28: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:35:07.16 ID:k5nKXPgw0
「やれやれ。幽霊なんているわけないでしょう。これだからオカルト好きな人は」
小梅が入った穴をスコップを使って埋めながら、幸子はため息をつく。
「それ以前に、あんな馬鹿げた噂を聞いて集まる人がいることに驚きですけど。どこの誰だか知りませんが、迷惑な噂を流してくれたものです」
29: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:37:46.56 ID:k5nKXPgw0
「ボクはカワイイ女の子を殺すのが好きなんです。ボクがカワイイからでしょうか?カワイイ女の子を見つけるとどうしても、ね」
「そして殺したカワイイ女の子を殺すとここに埋めることにしているんです」
「ここはもともと人が通らないし、薄気味悪い噂が広まっているから絶好の隠し場所だと思ったんですけど」
30: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:40:11.70 ID:k5nKXPgw0
ひとしきりお喋りをして満足したのか、幸子は桜に背を向けた。
「じゃあ、そろそろ行きますね。どうか小梅さん、安らかに眠ってください」
幸子はカワイイ笑みとともに颯爽と立ち去る。
31: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:43:31.08 ID:k5nKXPgw0
「なっ……!?」
咄嗟に幸子が想像したのは、先ほど頭を殴打して埋めた一人の少女。
彼女がまだ生きていて、土から手を出してきた可能性。
32: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:44:29.30 ID:k5nKXPgw0
「私ね……お友達が欲しいんだ……」
土の中から声が聞こえた。間違いなく、先ほど土に埋めた少女の声だ。
「私と同じ、死体のお友達が欲しくて……。でも、そのためには死体を探さなきゃいけないんだけど……」
33: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:46:07.36 ID:k5nKXPgw0
土の中から名前を呼ばれ、ついに幸子はスコップを投げ出して涙を流していた。
「そ、そうです!死体なら他の木の下にいっぱいいます!彼女達を友達でもなんでもしていいですから!」
だから許して、と泣き叫ぶ幸子に声はあくまで優しく語りかける。
34: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:47:12.65 ID:k5nKXPgw0
『ねえ、知ってる?』
『桜の木の下には、死体が埋まってるんだって』
「ふふっ、また新しいお友達が増えるかも……行こう、幸子ちゃん……」
35: ◆8ozqV8dCI2[sage]
2017/04/16(日) 21:48:01.62 ID:k5nKXPgw0
おしまい!
36:名無しNIPPER[sage]
2017/04/17(月) 00:42:55.66 ID:lkSesv5lo
おつ
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