過去ログ - 桜の木の下には幸子が埋まっている
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17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:26:12.15 ID:bw4yw+6v0
「ありがとうございます。フフーン!こんな親切な人に出会えるなんて、日頃の行いがいいからですね!」
幽霊は日頃どんな行いをしてるんだろう、と小梅は思ったが、また長い自分語りが始まりそうなのでやめておいた。
代わりにふと疑問に思ったことを聞く。
18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:27:42.07 ID:bw4yw+6v0
「私以外に、人は来なかったの……?」
地元民ではない小梅が噂を聞いたぐらいだ。もっと他にも同じような人が来てもおかしくない。
「そうですね。噂を聞いて集まる人はそれなりにいました。大半はボクの死体よりも死体が埋まっている桜を見るのが目当てで、スコップ持参の人は少なかったですけど」
19: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:30:11.41 ID:bw4yw+6v0
「そ、それで……いたの……?同年代の女の子……?」
「……小梅さんが一人目です」
「……ふふっ」
20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:51:18.89 ID:bw4yw+6v0
「ふふっ……じゃあ、さっそく幸子ちゃんの死体を探そうか……」
幸子の返事に気を良くしたまま、小梅はスコップを構える。
善は急げ。
21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/11(火) 23:53:52.47 ID:bw4yw+6v0
小梅は頭を抱える。
いや、まさか、そんなことは。
嫌な予感とともに、恐る恐る、小梅はもう一度聞き直す。
22: ◆8ozqV8dCI2[sage]
2017/04/11(火) 23:54:22.23 ID:bw4yw+6v0
いったんここまで。
23:名無しNIPPER[sage]
2017/04/12(水) 00:13:48.84 ID:0/I8wJ7/O
(小林)幸子だったら面白いんだろうなー思って開いたらやっぱりボクカワイイの方だったでござった
24: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:30:14.59 ID:k5nKXPgw0
「これ、かな……」
「ボクはこっちの方がカワイイ気がしますけど……」
結局どれが問題の桜の木かまったくわからなかったので、幸子の言葉に従って『一番カワイイ桜』を選ぶことにした。
25: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:31:34.86 ID:k5nKXPgw0
ザクザクと小梅はスコップで土を掘り返していく。
もちろん、幸子の体を傷つけないように注意を払いながら。
「あ、あの!本当に気を付けてくださいね?ボクの体なんですから!」
26: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:33:24.32 ID:k5nKXPgw0
「土いじり、じゃないよ……。慣れてるのは、今みたいに死体が埋まってるって噂を聞くたび、掘りに行ってたから……」
小梅が微笑みながら言うのを、幸子は少し引き気味に受けた。
「か、変わった趣味ですね。いえ、おかげでここにも小梅さんが来てくれて助かってるんですが」
27: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:33:59.42 ID:k5nKXPgw0
やがて桜の木の根元に、大人が一人すっぽり埋まるほどの大きさの穴が作られた。
幸子を埋めた犯人がどれだけの深さの穴を掘ったのかわからないため、深めに掘ってみたのだが。
「……ない、ね」
28: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:35:07.16 ID:k5nKXPgw0
「やれやれ。幽霊なんているわけないでしょう。これだからオカルト好きな人は」
小梅が入った穴をスコップを使って埋めながら、幸子はため息をつく。
「それ以前に、あんな馬鹿げた噂を聞いて集まる人がいることに驚きですけど。どこの誰だか知りませんが、迷惑な噂を流してくれたものです」
29: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:37:46.56 ID:k5nKXPgw0
「ボクはカワイイ女の子を殺すのが好きなんです。ボクがカワイイからでしょうか?カワイイ女の子を見つけるとどうしても、ね」
「そして殺したカワイイ女の子を殺すとここに埋めることにしているんです」
「ここはもともと人が通らないし、薄気味悪い噂が広まっているから絶好の隠し場所だと思ったんですけど」
30: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:40:11.70 ID:k5nKXPgw0
ひとしきりお喋りをして満足したのか、幸子は桜に背を向けた。
「じゃあ、そろそろ行きますね。どうか小梅さん、安らかに眠ってください」
幸子はカワイイ笑みとともに颯爽と立ち去る。
31: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:43:31.08 ID:k5nKXPgw0
「なっ……!?」
咄嗟に幸子が想像したのは、先ほど頭を殴打して埋めた一人の少女。
彼女がまだ生きていて、土から手を出してきた可能性。
32: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:44:29.30 ID:k5nKXPgw0
「私ね……お友達が欲しいんだ……」
土の中から声が聞こえた。間違いなく、先ほど土に埋めた少女の声だ。
「私と同じ、死体のお友達が欲しくて……。でも、そのためには死体を探さなきゃいけないんだけど……」
33: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:46:07.36 ID:k5nKXPgw0
土の中から名前を呼ばれ、ついに幸子はスコップを投げ出して涙を流していた。
「そ、そうです!死体なら他の木の下にいっぱいいます!彼女達を友達でもなんでもしていいですから!」
だから許して、と泣き叫ぶ幸子に声はあくまで優しく語りかける。
34: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/04/16(日) 21:47:12.65 ID:k5nKXPgw0
『ねえ、知ってる?』
『桜の木の下には、死体が埋まってるんだって』
「ふふっ、また新しいお友達が増えるかも……行こう、幸子ちゃん……」
35: ◆8ozqV8dCI2[sage]
2017/04/16(日) 21:48:01.62 ID:k5nKXPgw0
おしまい!
36:名無しNIPPER[sage]
2017/04/17(月) 00:42:55.66 ID:lkSesv5lo
おつ
37:名無しNIPPER[sage]
2017/04/17(月) 08:26:39.24 ID:188f2BpyO
乙
いい感じにサイコだった
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