過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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2017/04/15(土) 02:46:23.60 ID:Ip5evVVC0
「しかし、契約書は燃えちまったからな。また書き直さんと」
「その必要はありませんわ。キース!」
ボニーが天井の辺りに向けて呼びかけると、タキシード姿の男が姿を現した。
先ほどまでオーフェンが使っていたテーブルの下から、異様なほどスムーズににゅるりと立ち上がってくる。
「お前……ずっとそこにいたのか?」
半眼でオーフェンが呟くと、タキシードの男――キースは相変わらずののっぺりとした笑顔で答えてきた。
「いえ、丁度良かったものですから」
「何にだ」
「はっはっはっ」
無闇に白い歯を見せつけるように笑いながら、キースはオーフェンの呟きを無視した。
「キース、例の物をオーフェン様に」
「御意。こちらに」
そうしてキースが懐から取り出したのは、クリップ付のバインダーである。
クリップには一枚の紙が挟まれており、高級そうな万年筆が添えられていた。
どうやらそれは借金の契約書らしい。オーフェンが自身で用意していた物とは、多少書式が違うようだが。
オーフェンは訝しげな視線を、キースが差し出してくるその書状に遠慮なく注いだ。
「今、用意したのか?」
「無論です」
「……まあ、お前の行動の突飛さに突っ込むほど、付き合いも浅くないけどよ」
「そう言っていただけるとは光栄ですな」
「言っとくが、いい意味ではないからな断じて」
こめかみのあたりを押さえながら、オーフェンはバインダーを受け取った。だが万年筆を取り上げた時点で、ふと気づく。
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