過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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[saga]
2017/04/15(土) 02:52:32.11 ID:Ip5evVVC0
「それより、コギー。いま困ってること、あるよな? 主に金銭関係で」
「そうなの。あのむっつり詐欺師、何かあったらすぐに『減給だ』って!
いまなんて減給に次ぐ減給で、学生の頃してたアルバイトとどっこいの手取りなのよ。酷いと思わない?」
「ああ、酷いな――そんな不条理に晒されているお前をサポートしてやるぞ。ここに一筆サインするだけでいいんだ」
そう言ってオーフェンが取りだしたのは、新たに造っておいた借金の契約書である。先ほど宿で焼失したものと寸分の違いもない。
コンスタンスは特に疑問に思わず、それを受け取った。書き換えなどがないことを確かめると、戸惑うようにこちらを見つめてくる。
「で、でも、本当にいいのオーフェン? こんな割合じゃ、大して儲けだってでないでしょうに」
「本当は利子なんて無くてももいいくらいだ。ああ、俺に十分な貯金があれば!
許してくれ、コギー。俺にしてやれるのは、精々こんな友達利率で貸すことくらいさ。だからまずは、涙を止めよう。な?」
「うぅ、ありがとう、オーフェン。さっきは疑うようなこと言っちゃってごめんね」
「いや、だからいいから。まずは涙を拭けって――あ」
目から溢れ、頬を伝い、顎の先にまで達したコンスタンスの涙は、当然のように重力作用に従い続けた――
つまりは、彼女が受け取った借金の契約書の、余白の上に落ちた。
紙が涙滴を吸い込み、円状の染みを作る。
その染みの中に、じわりと奇妙な黒線が浮かんだ。
「? なにこれ」
「なんでもないぞ。いいから、ほら。サインをしよう、な?」
「……」
こちらの態度に、なにか感じるものがあったらしい。
コンスタンスが無言でポケットからハンカチを取り出す。魔術の熱が届かなかったのだろう。また絞れそうなほどに湿っていた。
そのハンカチで、涙の痕を中心に契約書を擦る。濡れた質感に、新たな文字が浮かび上がってきた――『一か月後から利子は時価になります』。
「……」
「……」
空気が凍りつく。
信じがたいものを見る目つきで――まるで可愛がっていた愛犬が、
殺人ポメラニアンだと判明したかのような目つきで――コンスタンスはオーフェンを見つめている。
数秒、あるいは数十秒の空白を経て、オーフェンは溜息をついた。やれやれと頭を振り、ニヒルに唇の端を吊り上げる。
「いつクビになるか分かりゃしねえ無能警官に貸すんだから、このくらいのリスクマネジメントは当然だ――だろ?」
「何が当然なのよぉおおおおお!」
コンスタンスは泣きながら警棒を振り上げ、オーフェンに殴りかかった。
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