過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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2017/04/15(土) 02:53:22.77 ID:Ip5evVVC0
◇◇◇
「……で、あんたここで何してたわけ? 夢がどーのこーの言ってたけど」
と、コンスタンスが言ったのは、殴り合いが始まってから数分後のことだった。
互いにある程度生傷を作って、どうにか落ち着いてきた頃の話である。あるいは、単に疲弊しただけかもしれないが。
警棒で滅多打ちにされた右腕を擦りながら、オーフェンはうんざりとした口調で呟いた
「見りゃわかるだろ? 営業活動だよ」
「借金の営業……?」
胡散臭いものでも見るような声音で繰り返してくるコンスタンスに、おう、とオーフェンは頷いて見せる。
「『モグリの金貸しでござい』なんて看板掲げてるわけじゃねえからな。地道に足で稼がねえと」
「その行動力を、どうしてもっとまじめなことに使えないのかしら……」
首を傾げながらコンスタンスは呟いた。が、すぐに頭を元の位置に戻し、続ける。
「それで、虱潰しに融資しますって当たってるわけ?」
「んな効率の悪いことやってられっか。いいか――」
オーフェンは出来の悪い生徒に教える教師のように、人差し指を一本立ててから説明する。
「俺が前回、福ダヌキを初めとした不良債権共に金を貸しちまった原因は、情報がなかったからだ」
「情報?」
「相手の人となりとか、財産の有無とかだな。まだこの街に来て日が浅かったから、右も左も分からんかったし。
だが、あれからもう結構経つしな。ある程度は相手も絞り込めるってもんだ」
「で、あんたに目を付けられた不幸な人がここの人ってわけねー」
そう言って、コンスタンスは目の前にある雑貨屋へ視線を向けた。全体的な外観を観察する。
レンガ造りの小洒落た外観は、対象となる客層を意識したものだろう。
外から見えるショーウィンドウに展示された商品も、ポプリやガラス細工など女性向けのものが多く見られる。
「確かに、流行りそうなお店ではあるけど……でも、それなら借金なんてしないんじゃない?」
「いや、それがな。最近、この辺りの店の客入りが落ちてるらしいんだよ」
オーフェンは通りを手で示した。昼下がり――というにはやや下がりすぎた感もあるが、まだまだ空は青い。
だというのに、人通りはやや少なく見える。言われてみればという程度で、まだはっきりと減退の兆候が出ているわけではなさそうだが。
「なら金を借りたい奴もいるんじゃないかと思ってな。ここは立地もいいし、まさか夜逃げなんざ――
――って、なんだよその目は」
オーフェンの演説を遮ったのは、コンスタンスのじっとりとした視線だった。
彼女はゆっくりとオーフェンの足元を指さしてくる。
オーフェンもつられて見るが、何も特別なものはない。ただの石畳があるだけだが。
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