過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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2017/04/15(土) 02:43:13.67 ID:Ip5evVVC0
さて、とオーフェンは一呼吸いれてから、ぱちぱちと音を立てて金貨を並べて見せた。
「とりあえず、九枚くらいでいいか? 端数が捌けると後の管理が楽だし、バッグだか財布だかの支払いには足りるだろ。
利子も含めて4か月の分割払いでいいぞ」
「いや……まだ借りるかどうかは決めてないんだけど……」
躊躇するように呻くコンスタンス。
「そもそも利率とか細かい契約内容とか、いろいろあるでしょ?」
「ああ、書面にまとめてあるぞ。ほれ、サインはここな」
懐から紙とペンを取り出し、空欄になっていた金額を記入してからコンスタンスに手渡す。
コンスタンスは受け取ったペンを机の上に置くと、まずは書面の内容を精読し始めた。
「大体ねー、確かにちょっと今月は厳しいけど、非正規の金融業者に相談したところで人生が好転するはずないのよね。
そもそもオーフェンにお金を借りるって時点で人生の終焉感凄いし――」
ぶつぶつと呟く彼女の様子を眺めながら、オーフェンは厨房で片付けをしているマジクに水を注文する。
運ばれてきた氷入りのグラスを手にした頃には、すでに全文を読むに足るだけの時間は経過していただろうが、コンスタンスは契約書を離さない。
目線を追うと、どうやら頭から再度読み直しているらしい。
(そーいや、こいつの実家って一応商売やってるんだっけか)
だからこその用心深さ、だと思ったのだが――
しばらくしてオーフェンは気づいた。それにしては、尋常一様の様子ではない。
読み進めるごとに、コンスタンスの顔色がどんどん悪くなっていく。
手や足といった末端部位がガタガタと震えだし、オーフェンの手にしているグラスの水面に波紋を生んだ。
有体にいって、何か凄まじい恐怖に遭遇したというような有様だった。別に、変なことは書いていない筈だが。
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