過去ログ - 藤原肇「実家での夜、隣の部屋には彼」
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14: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:17:08.61 ID:jwvtHNfB0

「そうか」と、おじいちゃんは何度も頷きました。
心なしか優しい目つきでした。
「良い友と、良きパートナーに出会ったな」

以下略



15: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:18:59.62 ID:jwvtHNfB0

「実を言うと、最初肇がアイドルになりたいと言ったとき、私は反対だった」
おじいちゃんはそう言いました。
私は驚きました。なぜなら初めて聞いたことだったから。
私がアイドルになりたいと言ったとき、おじいちゃんは何も言わずにただ頷いていただけだったから。
以下略



16: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:21:06.44 ID:jwvtHNfB0

「アイドルになって芸能界に行くということは、普通の若者が経験するはずだった青春を犠牲にする、ということでもあったからな」

地元の高校に毎日通い、友達と遊び、勉学に励み、そして恋愛の一つや二つでも経験しただろう。
陶芸という特殊な道に進みたいと思っている肇だからこそ、本格的にその道に進む前は、普通の女性らしい青春を謳歌してほしかった、と。
以下略



17: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:22:52.76 ID:jwvtHNfB0

「だからな、君、ちゃんと責任を取りなさい」
……ん?

「責任、ですか」
以下略



18: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:24:25.72 ID:jwvtHNfB0

さあ大変と言わんばかりに、Pさんは今までに見たことがないほど口ごもっています。

「そうだろう。肇をアイドルにしたいと君が家にやって来たとき、君は『全責任をもって一生をかけてでもプロデュースする』と言ったじゃないか」
「た、確かに言いましたけど、ですが…」
以下略



19: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:25:20.88 ID:jwvtHNfB0

嫌なわけがありません。むしろ万々歳です。
それに彼の出かかった言葉、本心でしょうか。本心だったら飛び上がってしまいそうな言葉です。
良いぞおじいちゃんもっと言って、などと心の中で煽っていたけど、いざ私に求められると何も言えない。
顔を赤くしたまま、私は何も言わずにただ伏し目がちになるだけです。
以下略



20: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:26:46.25 ID:jwvtHNfB0

おじいちゃんは「寝る」という一言の後、ご機嫌な足取りで寝室へと消えていきました。

それから私とPさんの会話はちょっとぎこちなくなり、次第に会話が途切れてしまいました。
居間ではテレビの音と、お父さんのいびきだけが響いています。居心地の良い空間に、居心地の悪い沈黙が広がります。
以下略



21: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:28:02.98 ID:jwvtHNfB0

「え? ここ、ですか? でも、ここって……」
「そうなのよ。肇の部屋なんだけど、もとは2つの部屋だったからこんな風に分けられるのよ」

上の方でガタガタと音がしていると思ったら、こういうことでした。
以下略



22: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:29:22.15 ID:jwvtHNfB0

・・・

そして今に至ります。暗い部屋で布団にくるまった私へと戻ってきました。
今日あった一日を思い返すと、むしろ眼が冴えてしまいます。
以下略



23: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:31:31.36 ID:jwvtHNfB0

もとは2つの部屋だったものを、12歳になった私にはあまりに手狭だろうという理由で、間のふすまを取り外して一つの部屋にしました。
おかげで、中途半端に大きな部屋が出来上がりました。
しかし今日は小さかった頃の私の部屋に逆戻り。何だか私も小さくなったような気がします。
学習机や本棚が布団を囲んでいて、今の私にとっては少し窮屈ですが、私の私物の多いこちら側を何としてでも死守しなければなりませんでした。
以下略



24: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:32:40.29 ID:jwvtHNfB0

仕方ないのです。
今日という一日が悪いのです。
どの場面を切り取り思い返しても、顔がにやけ、赤くなってしまうような場面しかありません。
特に、縁側で3人でお話をした時のことを思い返すと、悶絶しそうになります。
以下略



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