10:名無しNIPPER[saga]
2017/04/23(日) 22:34:26.33 ID:M/h/fDsR0
けれど、現実は無情だった。
勝ち逃げなぞ許すものか。
その一心で練習に励んできたが、とうとう敵うことはなかった。
あの正拳を、あの高回し蹴りを、あの段蹴りを二度ともらうことがない、と思えばせいせいするが、どうにも心が落ち着かない。
あの「押忍っ! よろしくお願いします!」と無駄に元気な声を直接受けることがないと思うと、なんとも言えない気持ちで胸が満たされる。
もう、二度と、俺は中野有香に、勝てない。
その事実だけが、重く残った。
空手をもうやめてしまいたい、とさえ思った。
でも、やめられなかった。
めざましなんてセットしなくとも、朝は5時に目が覚めるし、筋トレをしないと、寝付けない。
俺は空手のない生活の仕方が分からなくなっていた。
19Res/14.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。