過去ログ - 小日向美穂「瞳を閉じないで、歩みを止めないで」
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1: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:34:22.80 ID:XPJyqG6Wo
総選挙だから担当のSSを真摯に書いた、それだけの話。

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2: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:35:52.19 ID:XPJyqG6Wo
 小さな頃からテレビの中で歌って踊って演技をしている彼女達のことが好きでした。虹のようにカラフルなステージの上に立つアイドルに時に励まされて勇気づけられて。

 授業で当てられるだけで緊張してしまう恥ずかしがりやな私が堂々とした彼女達に憧れを持つようになるのも、ごくごく自然な流れでしょう。

 それから高校生になって。色々な経験をして来ていつか薄れてしまうだろうと思っていた憧れは、色褪せるどころか徐々に徐々に強くなってきました。お昼寝をすればステージの上に可愛い衣装を着て歌っている自分と度々出会って。だけど変わらなかったのは恥ずかしがりやな自分も一緒。夢を夢で終わらせたくない、って強く言える勇気はまだ足りませんでした。
以下略



3: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:37:33.93 ID:XPJyqG6Wo
 ダメで元々のつもりでいましたが、運良く養成所に合格出来た私は親や友達と別れて東京へと行くことになりました。学校の屋上からも見えない遠く遠く離れた場所にたった一人。お洒落な都会の中でお上りさんを炸裂してしまわないか、うまくやっていけるだろうかという不安が私に重くのしかかります。

「私は熊本の女だ……誰がなんと言おうと熊本の女なんです……」

「いや、美穂ちゃん。それは事実だからね」
以下略



4: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:38:40.84 ID:XPJyqG6Wo
「皆、見送りに来てくれてありがとうございます!」

 出発当日の空港には家族や友人達が見送りに来てくれました。さっきまで雨が降っていたけど私の心は雲一つなく晴れやかで。

「私たちはアイドル小日向美穂ちゃんの友達で、ファンだから!」
以下略



5: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:39:23.26 ID:XPJyqG6Wo
「疲れたぁ……」

 レッスンを終えて自室に帰ってきた私は靴を脱いですぐにベッドへと倒れこむ。ふかふかとしたベッドが心地よくそのまま眠ってしまいそうになるけど、流した汗が少し気持ちわるいから体を起こしてお風呂へ。

「今日も大変だったなあ……」
以下略



6: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:39:55.31 ID:XPJyqG6Wo
 歩みさえ止めなければ夢に近づける。そう信じてレッスンを繰り返す中、私にとって一つの転機が訪れました。

 その日はレッスンが休みでしたがトレーナーさんにお願いして自主レッスンをしていました。ワンツースリーとステップを踏んで、鏡に映る自分の姿はジャージだけど気持ちだけは大観衆の前で歌い踊るアイドル。その時はアイドル気分を味わうだけでよかったのに。

「小日向美穂さん、ですよね。実は――」
以下略



7: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:40:36.61 ID:XPJyqG6Wo
「で、でも……いきなりで、夢かと思って」

「……夢、といえば夢なのかもしれないね。アイドルになりたいって夢にまた一つ近づけたわけだし。そして俺は君の夢を叶える手伝いがしたいんだ。急に現れて信じてくれ、とは言っても信じられないかもしれないけど……」

 私はプロデューサーの瞳をじっと見てみました。いつかお母さんが私にそうしたように、いやらしい言い方をすると値踏みするみたいに。
以下略



8: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:41:04.45 ID:XPJyqG6Wo
 正式にアイドルとしての活動を初めてすぐにCDを出してお茶の間に流れる、なんてことはありませんでした。養成所でレッスンを積んできたとは言っても、小日向美穂というアイドルはまだまだ無名でまずは方々に名前を売ることから始まりました。

 レッスンの合間にプロデューサーさんが運転する車に乗ってあちこちに挨拶に行って。

「こ、小日向美穂ですっ!」
以下略



9: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:41:39.66 ID:XPJyqG6Wo
 時にはこんな辛いこともあったっけ。あまりにそっけない態度をとられて困惑する私の隣でプルプルと震えているプロデューサーさんの姿が印象的でした。

「ごめんな、美穂。あの時ガツン! と言いたいこと言えたら良かったんだけど……情けないなぁ」

 階段を降りる彼の足音は力任せなほどに大きく響いていて、やりきれなさが私にも伝わってきます。
以下略



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