過去ログ - 魔王♀「食べちゃうぞー!」勇者の母「食べないでください!」
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72:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 12:01:39.52 ID:FGQZz50A0
池にたどり着くと、狼と魔王がいました。
並んで池のほとりに座っています。
少女が近づくと、二人は同時にこちらを振り向きました。

そして、少女の光を見て、狼が言いました。
以下略



73:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 12:25:18.68 ID:FGQZz50A0
少女は目を閉じました。
熱いまぶたを腕で擦ります。全身に光が宿ります。
右手が訴えるように疼きました。魔王を倒せと。

魔王! 
以下略



74:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 12:39:58.67 ID:FGQZz50A0
狼は歯をむき出しました。

勇者は脅威です。私が食べるとしましょう。

狼が牙を剥きだしました。昔、一緒に遊んだ狼が、少女を食べようとしていました。
以下略



75:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 12:55:49.23 ID:FGQZz50A0
魔王は、少女の方に振り返ります。
何を考えているのか、少女には分かりません。
魔王が息を吸いました。

食べちゃうぞ!
以下略



76:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 13:15:32.40 ID:FGQZz50A0
魔王は盛大な水しぶきを上げて、池に落ちました。
少女の頭上から雨のように、しぶきが降り注ぎます。
少女は、呆然と見ているしかありませんでした。
魚たちが飛び跳ねます。
池はしだいに真っ赤に染まっていきました。
以下略



77:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 13:48:52.76 ID:FGQZz50A0
呼んでも呼んでも、返事はありません。
少女の頬に雫がしたたり落ち、それが水面に吸い込まれていきました。
すーっと、何かが浮かび上がります。


以下略



78:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 14:15:08.67 ID:FGQZz50A0
でも、魔王を魔王にしてしまったのは人間じゃない……。

――それは違う。魔王は生まれた時から魔王だったのだ。お前が、生まれた時から、その右手に光を宿していたように。焼き印が証明している。

これがなんだって言うの。大好きな人一人守れないのに、何が勇者なの。
以下略



79:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 14:51:17.38 ID:FGQZz50A0
不思議だね、愛ってこんなにお腹いっぱいになるんだ。

魔王は少女の体を抱きしめました。

分からなかった。愛して欲しいことも、愛することも。きみがこんなに臆病なことも。私のことが大好きだってちゃんと知っていたら、もっともっとたくさん抱きしめていたのに。ようやく分かったんだよ。私が食べても食べても満たされない理由。
以下略



80:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 14:54:16.49 ID:FGQZz50A0
読んでくださってありがとうございました

前作のっけておきます

甘くてとろける百合バス
以下略



81:名無しNIPPER[sage]
2017/05/20(土) 17:05:12.05 ID:46KorVylo
ハッピーエンドでなにより



82:名無しNIPPER[sage]
2017/05/20(土) 17:46:34.36 ID:UZHyNOo+0
乙乙良かったです童話みたいな語りが新鮮でした


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