1: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:01:03.70 ID:nvwqN8A+0
ー 都内のバー前 ー
「今日はありがとう。付き合ってもらって」
「こちらこそ、ありがとうございました。私もちょうど飲みたかったので」
ほんのり赤に染まった微笑み。それは本当に天使のようで、いま私はこの光景を独り占めしていて、
(もしよかったらーーー)
…言ってはならない言葉が、簡単に出てしまいそうになる。
「お礼に、というのも何だけど」
「…家まで車で送って行くよ」
ずるい人間だ。自分でも嫌になる。
「まあ!ありがとうございます、嬉しいです。では、カーで行くかー。ふふっ」
「ははっ。…お疲れ様。明日は久しぶりのオフなんだから、ゆっくり休んでね」
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2: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:04:06.20 ID:nvwqN8A+0
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青い街灯に照らされ、車に揺られて想う。
…このまま、どこまでも連れていってくれればいいのに。
3: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:05:54.53 ID:nvwqN8A+0
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私はいつもそうだ。いくら飲みに誘っても、想いは伝えられないし、もとより伝えてはいけないのに。
ただどうしても、あの光景をもう一度観たくなる。観られないと重苦しい気分が続く。観れば満たされ、心が晴れる。
4: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:07:21.74 ID:nvwqN8A+0
彼女の身を第一に考えるなら、週刊誌にでもスッポ抜かれて破滅する危険を冒してまで、こんなことはしないだろう。
業績を第一に考えたとしても、トップアイドルの高垣楓と、こんな商品価値が下がるようなことはしないだろう。
私が第一に考えているのは自分だ。私は、他人にどれほどの迷惑をかけてでも、自分の欲求を通そうとする悪人だ。そのくせ、中途半端に他のことも気にかけてオロオロする愚図だ。
5: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:09:15.89 ID:nvwqN8A+0
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「へっくしゅっ」
完全に風邪だ。これをもってトップアイドルとは、あまりに迂闊すぎる。
6: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:11:18.03 ID:nvwqN8A+0
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ー 事務所 ー
「お疲れ様です、プロデューサーさんっ」
7: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:12:49.05 ID:nvwqN8A+0
「おやプロデューサー君。どこへ行くのかね」
部長に見つかってしまった。何か言い訳を考えなくては…
8: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:20:09.11 ID:nvwqN8A+0
undefined
9: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:22:35.90 ID:nvwqN8A+0
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帰りがけに気づいた。
「そういえば、昼ごはんがありませんね…」
10: ◆opnRYVYTFw[sage saga]
2017/05/15(月) 03:23:43.10 ID:nvwqN8A+0
事務所が近いから起こりうることではあったのだけれど…
何もかも迂闊すぎる。
「…ええと、コンビニで昼食摂ってるんだ」
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