過去ログ - 安部菜々「ナナの名は」
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1:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:14:24.10 ID:MqNS8RCY0
「ナナちゃん、お誕生日おめでとう!」

「…………ありがとうございますみくちゃん」

「ど、どうしたにゃ。なんか元気ないけど」

うぐっ。今日はお祝いの言葉を言われるたびに、みんなから怪訝な顔をされてしまう。

「いえ、この年になると誕生日が来るたびにどうも胃が痛くなって……」

「菜々ちゃん、みくと 2 歳くらいしか変わらないのにおばちゃんみたいなこといってるにゃ」

ズキン。

「と、とにかくありがとうございます、みくちゃん。ナナはこれからも永遠の 17 歳として がんばりますよっ!」

「さすがナナちゃん! みくも負けてられないにゃ」

みくちゃんの無邪気な笑顔を見ていると、ちくちくと心が痛む。

「ナナは電車で帰るのでここでお別れですね。今日もレッスンお疲れさまでした!」

「お疲れ様! また明日もよろしくにゃ!」

あれだけ激しいレッスンをした後にも関わらず元気に去っていく若々しい後ろ姿と、疲れ 切った自分を比べてしまい、

「……ハァァ」

肩に掛けていた荷物がずり落ちた。

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2:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:17:43.71 ID:MqNS8RCY0
5月15日。

私、安部菜々の誕生日。

アイドルとして346プロにスカウトされてから 1 年。
以下略



3:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:21:22.89 ID:MqNS8RCY0
ナナが高校を卒業して以降、今も住み続けている6畳 1 間の小さな家。

ウサミン星。

ずっと寝ていると体が痛くなるほど薄い布団に、小さなぼろいお化粧台。
以下略



4:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:23:54.34 ID:MqNS8RCY0
ナナがアイドルになりたいと思うようになったきっかけは、一本のアニメだった。
そのアニメに出てくるお気に入りのキャラクター。その役を演じていたのが、当時売り出し中だったアイドル。
今思い返しても演技そのものはとても上手とはいえないものだったと思う。
それでも、一生懸命に元気な声で演じていて、それがあまりにそのキャラクターにぴったりで、ナナは彼女の声が大好きだった。

以下略



5:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:26:07.13 ID:MqNS8RCY0
アイドルになりたい。そう思ったのはよかったけど現実はそう甘くなかった。

高校に入学してから出し続けた志願書は悉く却下され、オーディションにたどり着けたときも結局は不採用。
高校を出た後もメイドカフェのバイトで生計を立てながら、地下アイドルを続けているうちに、27歳になってしまっていた。

以下略



6:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:30:59.18 ID:MqNS8RCY0
ジリリリリン。

ジリリリリン。

うるさいなぁ。
以下略



7:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:33:57.53 ID:MqNS8RCY0
「……………………」

10秒まてど鳴りやむ気配はない。とりあえず出てみることにした。 さて、どんな人が出てくるか。

ピッ。
以下略



8:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:38:33.64 ID:MqNS8RCY0
「……うう。疲れた」

自分の家(ウサミン星ではなくて今日朝起きた家)に帰って早々、着替えもせずにベッドにダイブする。

「なんだかすっごくリアルな夢」
以下略



9:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:45:51.85 ID:MqNS8RCY0
「うう、疲れた……」

とりあえず寝巻に着替えた後、ふかふかベッドに身を預ける。

あれから 2 日。
以下略



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