過去ログ - 佐藤心「はぁとがかわる」
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:50:04.57 ID:BbtAjqcW0
 21時ちょうどに携帯がなった。メールの差出人は会社で、件名は予想通り、選挙結果だった。
 一呼吸ついてから、メールを開く。

 まず初めに高垣さんの名前があった。ほんのりと顔を赤らめ、幸せそうにお酒を飲む高垣さんの顔が頭に浮かんだ。
 僕ははぁとさんの担当でありながら、高垣さんのファンでもあるので、彼女がシンデレラに選ばれたことは素直に嬉しい。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:50:55.12 ID:BbtAjqcW0
 50位まで見渡して、あれ?っと僕は思った。

 もしかしたら、気づかぬうちに見落としてしまったのかもしれない。
 本文の一番上に戻り、高垣さんの名前からもう一度、上位受賞者の名前を一つ一つ見ていく。
 さっきよりも慎重に、丁寧に。
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:52:38.51 ID:BbtAjqcW0
 いつもはシャワーで軽く済ませるのに、今日はバスタブにお湯を張った。
 取り乱していた。僕自身、落ち着く必要があった。

「佐藤心」
 
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:55:03.07 ID:BbtAjqcW0
 素敵な名前だ。そう思った。

 心。履歴書に書かれていた、初めて担当するアイドルの名だった。真っすぐで力強い印象を受けた。
 26歳。僕よりも年上だ。プロデューサーである僕ではなく、この人が僕を引っ張っていく。
 不思議とそんな予感がした。
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:00:43.44 ID:BbtAjqcW0
『心って男みたいな名前だろ?だからはぁとって呼んで☆呼べ☆』

 担当になってすぐ、はぁとさんは僕にそう言った。

 もったいないな。素敵な名前なのに、と思ったけれど、言葉にはしなかった。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:01:47.97 ID:BbtAjqcW0
「佐藤心」

 僕はもう一度、欲しかった名前を口にした。小さな浴室に名前は何度も木霊した。

 はぁとさんは今頃何をしているのだろう。ふと頭に浮かんだ。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:03:34.18 ID:BbtAjqcW0
 次の日、はぁとさんはいつもどおり、事務所に来た。
 ピンクを基調とした自作の衣装を身にまとい、クリーム色の髪の毛は大きく2つに結ばれ揺れていた。

「どうしたプロデューサー?はぁとのことそんなに見て……もしかしてはぁとに見惚れてた?やーん♪まいっちゃうー☆」

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:04:56.94 ID:BbtAjqcW0
 二人きりになってもはぁとさんの態度は変わらなかった。

 澄み切った青空を見て、はぁとさんは

「今日もいい天気♪これならお仕事がんばれそう」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:06:27.65 ID:BbtAjqcW0
 テレビ局での仕事を終えると空は茜色に染まっていた。

「夕焼けきれいだね」はぁとさんが呟いた。

 そうですね、と僕は頷いた。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:07:59.41 ID:BbtAjqcW0
 場所ははぁとさんが好む大衆居酒屋ではなくて、個室つきの場所にした。
 はぁとさんはビール、僕はウーロン茶を頼もうとすると、

「いいから飲め☆飲んで☆」

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:10:32.73 ID:BbtAjqcW0
 はぁとさんは「そっか」と呟いたあと、「ごめんね。はぁとのせいで」と申し訳なさそうに僕を見た。
 
 はぁとさんが「ごめんね」と言っている意味が理解できなくて、
 僕は「何がですか」と聞き返した。

以下略



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