893:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:30:58.36 ID:xOgRNUoX0
【当たり】
やっとの思いで自販機へ辿り着く。
部室を出てからたかだか数分のことなのに、その倍の倍も時間がかかってしまったように思える。
894:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:31:46.86 ID:xOgRNUoX0
体育館と武道館の間の通路を抜けて、校庭側へと足を進める。
石段近くのベンチで音楽でも聞きながら、あたたかい飲み物を口にすれば、気分が少しでもマシになるのではないか、という淡い期待を抱きながら。
ベンチに背中を預ける。ここには俺の他に誰もいない。
895:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:12.51 ID:xOgRNUoX0
【多彩】
「眠れなかったんですか?」と彼女の近くまで寄って話しかけると、
「ううん、ちょっと黄昏てたの」と微笑み混じりに返された。
896:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:44.83 ID:xOgRNUoX0
「……あ、でも白石くんはすぐに私よりも上手くなっちゃうからダメか」
「……はい?」
897:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:34:58.14 ID:xOgRNUoX0
「でも、しゅかちゃん教えるの上手かったでしょ?」
「それは……はい、すごく」
898:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:35:44.27 ID:xOgRNUoX0
俺はなぜかいたたまれない気持ちになって「すみません」と謝った。
彼女は慌てて「だいじょぶだいじょぶ」と繰り返した。
「……何か弾いてみる?」
899:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:36:28.44 ID:xOgRNUoX0
【光と影、その先にあるもの】
七、八曲歌い終えた後の胡依先輩は、ぜえはあと肩で息をしていた。
選曲はなぜか曲名縛りらしく、くるりから絢香、果ては尾崎まで多種多様なジャンルから歌っていた。
900:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:37:45.94 ID:xOgRNUoX0
「シノちゃんと私ね、音楽の趣味とか多分めっちゃ合うの」
「へえ」
901:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:38:34.21 ID:xOgRNUoX0
「いや、あれはそれだけじゃないでしょ」
だから、思わず敬語も忘れて返すと、
902:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:39:46.13 ID:xOgRNUoX0
そこで、先輩は言葉を区切った。
数秒に渡って沈黙が流れる。俺が何かを言うべきだという気がした。
「……萩花先輩が、胡依先輩のことを知ろうとしたんですか?」
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