過去ログ - 追われてます!
1- 20
894:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:31:46.86 ID:xOgRNUoX0

 体育館と武道館の間の通路を抜けて、校庭側へと足を進める。
 石段近くのベンチで音楽でも聞きながら、あたたかい飲み物を口にすれば、気分が少しでもマシになるのではないか、という淡い期待を抱きながら。

 ベンチに背中を預ける。ここには俺の他に誰もいない。
以下略



895:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:12.51 ID:xOgRNUoX0

【多彩】

「眠れなかったんですか?」と彼女の近くまで寄って話しかけると、
「ううん、ちょっと黄昏てたの」と微笑み混じりに返された。
以下略



896:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:44.83 ID:xOgRNUoX0

「……あ、でも白石くんはすぐに私よりも上手くなっちゃうからダメか」

「……はい?」

以下略



897:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:34:58.14 ID:xOgRNUoX0

「でも、しゅかちゃん教えるの上手かったでしょ?」

「それは……はい、すごく」

以下略



898:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:35:44.27 ID:xOgRNUoX0

 俺はなぜかいたたまれない気持ちになって「すみません」と謝った。
 彼女は慌てて「だいじょぶだいじょぶ」と繰り返した。

「……何か弾いてみる?」
以下略



899:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:36:28.44 ID:xOgRNUoX0

【光と影、その先にあるもの】

 七、八曲歌い終えた後の胡依先輩は、ぜえはあと肩で息をしていた。
 選曲はなぜか曲名縛りらしく、くるりから絢香、果ては尾崎まで多種多様なジャンルから歌っていた。
以下略



900:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:37:45.94 ID:xOgRNUoX0

「シノちゃんと私ね、音楽の趣味とか多分めっちゃ合うの」

「へえ」

以下略



901:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:38:34.21 ID:xOgRNUoX0

「いや、あれはそれだけじゃないでしょ」

 だから、思わず敬語も忘れて返すと、

以下略



902:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:39:46.13 ID:xOgRNUoX0

 そこで、先輩は言葉を区切った。
 数秒に渡って沈黙が流れる。俺が何かを言うべきだという気がした。

「……萩花先輩が、胡依先輩のことを知ろうとしたんですか?」
以下略



903:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:40:35.78 ID:xOgRNUoX0

「だから私は、あの子のことを一方的に避けたの。
 あとで深く傷付くなら……早いうちに、浅いうちに切ってしまいたかったから。
 私のせいで傷付かせるようなことがあったら、きっと耐えきれなくなるから」

以下略



904:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:41:50.58 ID:xOgRNUoX0

 俺が彼女に無くしてほしくなかったのは、何の混じり気のない純粋な部分だった。

 うまく先回りして、道に転がっているものはどんなに小さな小石だったとしても取り除いて、
 それでも残ってしまった障害物でできた傷については、後からどうにかして修復するようにして。
以下略



1002Res/840.07 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice