過去ログ - 追われてます!
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922:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 13:58:26.06 ID:LnmL9/o10

 ……あ、いや、別にかけられたかったわけではないけど、
 と意味もないのに数秒前の思考を否定しようと考えていると、またしても握っていたものがブルブルと震えた。

 さっきは鳴り止んだ後に見たから気付かなかったが、ロック画面には通知がたくさん表示されている。
以下略



923:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 13:59:12.80 ID:LnmL9/o10

 今日は金曜日で、昨日は木曜日で、部長さんと話をしてから一日が経った。

 約束の朝だ、と思う。
 部長さんと交わした、大切な約束。
以下略



924:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:00:21.93 ID:LnmL9/o10

 もし部長さんの力を借りて場当たり的に絵を描けたとしても、いずれ自分はまた描けなくなってしまう。
 不用意に誰かの力を借りることは、自分を蔑ろにしてその人に依存することと何が違うのだろうか。

 部誌に描いた絵を載せてもらって、達成感や充足感を得れば、何かが変わるのかな──もしかしたら、そのままなんてことなく描けるようになるのかな。
以下略



925:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:00:55.71 ID:LnmL9/o10

 軽くため息をついて、先ほどスマホを置いた机に目をやると、パソコンの電源が付けっ放しになっている。

 そしてその近くには、見慣れない付箋が貼られていて、

以下略



926:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:02:10.58 ID:LnmL9/o10

【指先】

 外気はつめたく、しとしとと降り落ちる秋雨が頬を濡らした。
 もう九月も終盤に差し掛かってきている。こういう雨も、もしかしたらこれから増えていくのかもしれない。
以下略



927:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:02:40.45 ID:LnmL9/o10

「おー、まさか心配してくれたの?」

「いや、そんなバカな人はいくらなんでもいないよな、と思いまして」

以下略



928:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:03:10.29 ID:LnmL9/o10

 本当なら、こういう話は全てすっ飛ばして私の話をするべきと思ったけれど、それでも彼女から何かきっかけを与えてくれることを願ってしまった。

「ちょっとした昔話とか、白石くんが描き始めた漫画についてとか」

以下略



929:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:04:10.38 ID:LnmL9/o10

 その代わりに、私との距離を一歩詰め、半身に寄りかかってくる。
 そのままでは取り零してしまうのではないかと座ったまま背筋を伸ばして目を合わすと、彼女の表情はそれまでの真剣なものから慈しむようなものへと変化していく。

「でもね、それだけってわけじゃないの」
以下略



930:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:04:46.07 ID:LnmL9/o10

 踏み越えるかどうか決めるのは、私が判断するべきことなのだと思っていた。
 でも、そんな気持ちとは裏腹に、訊いてほしいとも思っていた。……多分、自分のことを自分で語るには、かなりの勇気を必要とするから。

「理由」と部長さんは囁いた。さっき言った言葉と同じようで、意味の異なる言葉。
以下略



931:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:05:22.61 ID:LnmL9/o10

 ふと気付くと、触れていた指をしっかりと握ってしまっていた。最初は小指だけのつもりだったのに、すぐに手を広い方へと滑らせていた。
 それは、いけないことだとわかっていて、けれど、彼女だっていつも私にこうやって触れてきていた。

 反射的なものだと偽ることにした。
以下略



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