993:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/20(火) 20:54:43.17 ID:t0wqhM/bo
「……」
部屋に入る時に、声はかけたのです。
その……少し、声量は足りなかったかも……知れませんが。
ノックもきちんとしましたが、反応がなく……。
決して、コッソリと忍び込むというつもりは無かったのです。
ただ……結果的にそうなってしまった形なだけ。
「……」
そう、弁明したいのですが、あの人は、
私が最初に部屋に入った時と同じ様に、耳をヘッドフォンで覆い隠し、
外界との音の繋がりを完全に遮断しています。
その目も、画面に向けられ……恐らく、担当している方達の動画の確認を。
そう考えると、きゅう、と胸が締め付けられるような痛みがしました。
「……」
あの人は、此処に居ない方達が映る画面に……目を奪われている。
いえ、奪われているのではなく……注いでいる、そんな目をしています。
絶対に、私には向けられる事の無い、目。
担当アイドルでない私では、受ける事が出来ない想いの篭った眼差し。
「……」
私は、此処に居るのに。
「……」
……なんて、そう思っているだけだから、駄目なのでしょうね、私は。
そんな自分を変えたくてアイドルの道へと足を踏み入れたというのに、変わらない。
人と触れ合う事を恐れる……そんな、弱い自分が今は……歯がゆい。
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